『北原白秋 言葉の魔術師』
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「煌めく言葉の星座」を探す旅
[レビュアー] 図書新聞
おそらく名前だけは誰でも知っている北原白秋。しかしその実、短歌・詩・童謡など様々なジャンルで多岐にわたる活動をし、そして名作を数多く残しているが故に、ある一面のみを知っているだけでこれが白秋だというイメージを持たれやすい作家でもあるかもしれない。そんな白秋を、日本語学の匠・今野真二が経時的に追い、丁寧に読んでいくことでその「変化」を開示していく。しかしもちろん「変わるもの」があれば「変わらないもの」もそこにはある。白秋という名の言語宇宙に潜り、「煌めく言葉の星座」を探す旅のような一冊だ。本書を足がかりに、数多ある白秋の評伝を読んでいくのも面白いだろう。それから白秋の膨大な作品群を読めば、新たな言葉の魔術師たる北原白秋が現れるだろう。(2・21刊、二八八頁・本体八八〇円・岩波新書)