ブックセンターほんだ「大切な人へ手紙を書きたくなります」【書店員レビュー】
[レビュアー] ブックセンターほんだ(書店員)
鎌倉の一軒家でひとり暮らしをしている鳩子。ものごころついた頃から、祖母である先代より“文字を書くこと”を仕込まれた鳩子だったが、嫌気がさして家を出ていた。ところが、先代が亡くなったことがきっかけで、家に戻り稼業を継ぐことに。表向きは町の文具屋『ツバキ文具店』だが、実際は江戸時代から続くとされる“代筆屋”である。
暑中見舞い、お悔やみ状、離婚を報告する手紙、謝絶状、お祝いのメッセージカード、などなど。どう書けば相手に伝わるのか、鳩子は苦心しながらも手紙を書き続ける。
メールという便利なツールができたことにより、手紙を書く機会は、ほぼなくなりました。だからこそ、手紙でしか伝わらないものがあることを、より実感します。どんなペンで、どんな紙に、どんな文字で、どんな言葉をつづるのか。
読み終えると、大切な誰かへ手紙を書きたくなります。