『「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』 安藤哲也ほか著

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「パパは大変」が「面白い!」に変わる本

『「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』

著者
安藤 哲也 [著]
出版社
扶桑社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784594076528
発売日
2017/02/21
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』 安藤哲也ほか著

[レビュアー] 朝井リョウ(作家)

 イクメンという言葉が耳に慣れて久しいが、この本はイクメンブルーという耳慣れない言葉から始まる。仕事と家事と育児をこなす完璧な夫という理想像に音を上げる男性の増加は、長い間それ以上の圧力を受けてきた女性陣には甘く感じられるかもしれないが、長時間労働が是正されない現状と理想の“家族”像の狭間(はざま)で息苦しさを感じる事実に、きっと性差はない。

 この本は主に家庭、職場、地域の三分野に言及する。どうしても育児を直接手伝えないときは妻のケアに力を注ぐ「間接育児」等、各分野に利く課題の乗り越え方が実際の父親たちの経験談と併せて提示される。また、家庭や地域での事象にビジネス用語を当てはめ父親たちの意欲を掻(か)き立てようと試みている点も印象的だ。一生面(いちせいめん)を開く提言でなくても、変化する空間に合わせて差し出し直すことで言葉は新たな響きを持つ。

 父親像に拘(かか)わらず、世間の正解ではなく自分の正解を見つけようという大きな流れがやっと発生しつつある。男性性という大きな幻想に縛られ弱音を吐きづらいだろう世の父親たちに届くべき一冊だ。(扶桑社、1300円)

読売新聞
2017年3月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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