【今週の労務書】『失敗事例から学ぶ職場のメンタルヘルス不調防止対策』

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【今週の労務書】『失敗事例から学ぶ職場のメンタルヘルス不調防止対策』

[レビュアー] 労働新聞社

裁判例通し分岐点探る

 本書は、裁判にまで至った事例を題材とし、企業が事態を回避するために「どの時点でどのような対応をすれば良かったのか」を探っている。特徴的なのは事実経過をフローチャートで示し、ターニングポイントとその際採るべきだった対応を順に解説していく点。全体像を意識しながら、対処すべきポイントを絞り込んで学べる。

 題材とされるのは、うつ病による自殺、休職期間満了に伴う退職の是非など13のケース。たとえば新任の職場リーダーが自殺した事例では、元からの長時間労働に対処しなかった時間管理の不備、リーダー任用時の業務負荷に対する無配慮、上司によるパワハラの放置が指摘される。労災認定から遡及的に司法処分がされる現在、全体像から分岐点を捉える発想が興味深い。

(弁護士法人ベリーベスト法律事務所 金ヶ崎絵美 著、第一法規刊、0120-203-694、2000円+税)

労働新聞
2017年4月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

労働新聞社

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