『したたかな魚たち』
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多様な魚の世界への格好の入門書
［レビュアー］ 図書新聞
「泳ぐのが苦手です」。表紙のウミスズメの写真にそう吹き出しがついている。なんとも暢気な顔立ちと口調には思わず笑みがこぼれる。しかしその暢気な顔の魚は、我々の想像をはるかに超える生態をもち、けなげにしたたかに生きている。海中生物たちの生存競争の激しさのなかにあっては、生まれてから大人になるのもとんでもなく大変なことなのだ。それでは彼らは生き残るためにどんな姿をし、どんな行動をとって、どんな住み家をもっているのか。本書は、そんな魚たちの不思議に満ち満ちたユーモラスな生態を、そもそも魚とは何なのかというところから説明していく。魚たちのことはまだまだ未知なことばかり。これは、計りしれない多様性を持つ魚の世界への入門書であり、啓蒙書ともいえる一冊だろう。（３・１０刊、二五六頁・本体八〇〇円・角川新書）
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2017年4月1日号（3297号） 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
