『ぼくの美術ノート』 原田治著

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ぼくの美術ノート

『ぼくの美術ノート』

著者
原田 治 [著]
出版社
亜紀書房
ジャンル
芸術・生活/芸術総記
ISBN
9784750514932
発売日
2017/01/20
価格
2,160円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ぼくの美術ノート』 原田治著

[レビュアー] 尾崎真理子(読売新聞本社編集委員)

 原田治のグッズ目当てで「ミスタードーナツ」に通った女子が、1990年代までかなりいたと思う。一見アメリカ調の「かわいい」をきわめたイラストレーターは、知る人ぞ知る辛口の文章家でもあった。「芸術新潮」連載コラムをまとめたコンパクトな本書は、軽みを旨(むね)としながらも、何十年がかりで好きな作家、作品を集め、その美を考え続けた好事家の執念が、案外ずっしり伝わってくる。

 底流に潜むテーマは「美人画論」とみた。50年代のアメリカンドリームを代表する画工エルブグレンの描いた、完璧な脚線美と蠱惑(こわく)的な表情。同時代の日本で、獅子文六の新聞小説を〈いとも軽快に、しかも間然する所なく〉盛り上げた、宮田重雄による躍動的な素描。さらに年代を遡り、〈理想的な女性美〉を挿絵に拓(ひら)いた小村雪岱(せったい)の項では息をのんだ。上部に大きな余白を取る雪岱の画面構成の秘密が、同業者ならではの鋭さで解かれていたのだ。

 昨秋70歳で亡くなった著者に新聞小説の絵を依頼できなかったのはつくづく残念。カラー写真で紹介された収集品を、間近で鑑賞したくなった。

 亜紀書房 2000円

読売新聞
2017年4月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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