『京大カレー部 スパイス活動』
書籍情報:openBD
【話題の本】『京大カレー部 スパイス活動』石崎楓著
[レビュアー] 川村達哉
■知らないから知りたい
京都大学に「カレー部」なるものがあるとは、本書に出合うまで知らなかった。何しろ「カレーのことを何も知らない。だから、もっと知りたい人びとが、カレーを食べていろいろ考える研究会」なのだそうだ。
著者は4代目の部長。京大カレー部は平成22年に発足した。学内、関西、全国を舞台に各種イベントを開催。スパイスから作る創作カレーを販売してきた。
この部には“座右の銘”があって、「カレーは愛。愛こそカレー。それがジャスティス。」とまあ、とにかく熱いのである。
本書はイラストや写真をふんだんに取り入れ、大学周辺のカレー屋さんを紹介したり、スパイスから始まるカレー作りを公開したり…。カレー三昧(ざんまい)な内容だ。
そして、その奥深さについてこう記す。「ひと鍋のカレーを通じて映し出されるその土地の自然や人、その関係の歴史に目を向けることで、私たちはまた新しい世界を見ることができる。(中略)経験そのものが、驚きと感動を生み出してくれる人生のスパイスなのだ」
全編からほとばしる熱気に、読者たちはきっと食べたくなるに違いない。(世界文化社・1300円+税)
川村達哉