『正しいコピペのすすめ』
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ネットに自費出版 素人が悩む著作権
[レビュアー] 林操(コラムニスト)
自作の俳句を句集にまとめたい。昔やってたブログを復旧させたい。フェイスブックでケチつけてくる輩を排撃したい。そんな相談を最近よく受けます。
で、頭を抱えるのは、俳句にはパクり臭が立ち、ブログにはエエ加減な引用が山盛りで、フェイスブックには喧嘩相手の写った写真がアップされたままと、著作権だ肖像権だの上では黒あるいは灰色であるゆえ。
ブログにSNS、いや自費出版までが拡がってきて誰でも自分の作品を気軽に発信できる今、誰でも他人の権利を気軽に侵害できる。自転車の性能が自動車級に上がりゃ無免許の飛ばし屋が増えてアチコチで衝突だ炎上だ訴訟だになるわけで。
もひとつ悪いことに、活字やネットでの安全運転術を説く入門書は、少なく薄く難しかったんだけれど、ようやく朗報。『正しいコピペのすすめ』は、著作権なんぞに足を取られないための、かなりわかりやすいテキストではないかと。
書いた宮武久佳は共同通信の記者出身で、法学系によくある上から目線のモノ言いはなし。具体例を使った説明が多いし、べからず集ではなく、やっていいことも数多く挙げられてるから、読む側が萎縮しない。
そもそもこの本、岩波ジュニア新書で、著者の想定読者層は大学生あたり。週刊新潮の読者に勧めるかとご不満のアナタには、同じジュニア新書の新刊『財政から読みとく日本社会』(井手英策)がまた、大人こそ読むべき良書だってこと、秘密にしておこう。