すごーい!科学者が見せるすごーい!生物の世界

レビュー

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すごい科学者が見せるすごい生物の世界

[レビュアー] 小飼弾

 今年冬最低予算のアニメ「けものフレンズ」が最高の作品となったきっかけは、主題歌の「けものはいてものけものはいない」というパワーワードにあるのは間違いない。しかし同作における「けもの」は、未確認動物であるツチノコまで含めてもたった一つの亜門に収まってしまう。脊椎動物亜門。サル目ヒト科ヒト属たる我々ヒトも入っているだけあって身内びいきは仕方がないにせよ、その門の向こうも覗かずにいられないのが本当の愛ではなかろうか。

 それを垣間見せてくれるのが、『ウニはすごい バッタもすごい』。『ゾウの時間 ネズミの時間』で一見てんでんばらばらちんぷんかんぷんまとまらないように見える動物たちを1本の両対数グラフでまとめてみせた本川達雄が、5つの門をまたいで動物たちをほめまくる。地図どころか地層に残るサンゴ礁を築くのは刺胞動物。多様性の覇者昆虫を擁するのは節足動物。硬い殻を持つのに貝は軟体動物、文字通り砂を噛んで生きられる究極の省エネ動物ナマコは棘皮(きょくひ)動物、そして脊索動物。進撃の巨人とは我々自身のことであったか。

 これでも34ある動物門の1/7でしかないが、どんなサファリパークもわずか336ページの本書の広さには及ばない。姿形も十人十色だから惹かれ合うのは人間の性だが、その姿形になったのかまで歌って解き明かしてくれるのは動物生理学者にしてシンガーソングライターの著者ならでは。プロのすごいはやっぱりすごい。

新潮社 週刊新潮
2017年4月27日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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