平将門VSサイコパス――高田崇史×中野信子〈『鬼門の将軍』刊行記念対談〉

対談・鼎談

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鬼門の将軍

『鬼門の将軍』

著者
高田 崇史 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784103393320
発売日
2017/02/22
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

平将門VSサイコパス――高田崇史×中野信子〈『鬼門の将軍』刊行記念対談〉

人は呪いで死ぬか

中野 『鬼門の将軍』には、藁人形の話が出てきましたね。

高田 あれは非常に単純な話で、誰かが自分を呪っているという意識を植えつけさせるわけです。だから、藁人形を打つところは誰にも見られてはならないと言われているけど、見られていないと意味がない。

中野 呪いによって死ぬというのはオカルトのようだけれども、論文も出ていたりします。呪っただけでは死なないのですが、自分が呪われていると知った時に死が訪れる。誰かが自分に悪意を持っているということが知られた時に死ぬ。社会性によって殺されるわけです。

高田 言霊の場合は、言葉によってそれが実現する。

中野 自己成就予言ですね。言葉によるラベリング効果の一つですが、自分がそうならなければならない未来を決めてしまったために、そこに自分の行動を無意識に合わせていく。それで予言が本当に叶ってしまうわけですね。

高田 僕の小説の場合は、八割は本当のことを書いて、残りの二割で好き勝手を書いています。

中野 結構、本当の割合が多いですね。

高田 新興宗教の勧誘とかもそうじゃないですか。大方は正しいことを言ってるんですよ。お父さんお母さんを大切にとか、他人を愛しましょうとか。その技術を使っているだけです。

中野 高田さんもサイコパスかも。

高田 それはないでしょう。僕は八五パーセントくらい本当のことを書いてます。

中野 増えてる(笑)。

新潮社 波
2017年5月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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