『伊勢神宮』 藤田庄市・写真

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伊勢神宮

『伊勢神宮』

著者
藤田 庄市 [写真]/隈 研吾 [解説]/河合 真如 [解説]
出版社
新潮社
ジャンル
芸術・生活/写真・工芸
ISBN
9784104379026
発売日
2017/03/30
価格
16,200円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『伊勢神宮』 藤田庄市・写真

 実をいえば、伊勢神宮について書くのはいささか気が重い。何にせよ、その存在感の大きさと比べれば、ほんの断片を伝えられるに過ぎないからだ。

 だが3分冊からなるこの写真集は、そんな気後れを軽減させてくれる。伊勢神宮とは立ちはだかるような存在ではなく、まさに人々が受け継いできた「営みそのもの」であることが見えてくるのだ。一枚一枚は、さかしらな解釈など必要なく、ただ受け止めればいい、と語りかけてくるようだ。

 それでも、建築家の隈研吾(くまけんご)さんが寄せた一文にはハッとさせられた。いわく、「そもそも伊勢には自信というものがなかった」。伊勢は元来、神が臨時に降りてくる場である「神籬(ひもろぎ)」に恒久建造物を建てるという矛盾を抱えており、それゆえに自信がなく、だからこそ持続的な手直しがなされてきたという。本書は、そうした人々の努力への賛歌だといえよう。(新潮社、1万5000円)(植)

読売新聞
2017年4月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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