『ファット・キャット・アート』 スヴェトラーナ・ペトロヴァ著

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『ファット・キャット・アート』 スヴェトラーナ・ペトロヴァ著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 ミケランジェロの「アダムの創造」、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」、クリムトの「接吻(せっぷん)」――古今東西の名画のなかに太っちょな茶トラ猫が入り込んで澄まし顔でポーズをとる、不届きで愉快で愛らしい画集だ。笑っちゃう冗談アートなのですが、デブ猫ちゃんがあまりにも巧(たく)みに配置されているので、「これ、もとの絵はどうだったっけ?」と混乱してきて、本物の画像を確認したくなる。ダリの「聖アントニウスの誘惑」など、もともとこういう絵だったみたいだ。このデブ猫ちゃんは牡(おす)で、名前はツァラトゥストラ。名前負けしないインテリだから、名画について大いに語る。なにしろ彼は芸術の神「ミャウズ」の代弁者なのだ。

 作者はサンクトペテルブルク在住のアーティスト。ツァラトゥストラにポーズを強いるのではなく、彼の自然なしぐさから作品のインスピレーションを得ているそうです。喜多直子訳。

エクスナレッジ 1800円

読売新聞
2017年4月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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