万葉集を、奈良時代を生きた人間の「心のスナップ写真」という著者が、大伴旅人や山上憶良らが九州・大宰府で詠んだ歌を現代の視点で読み解いたエッセー。都を遠く離れて筑紫に生きた役人たちの家族や友への思慕、死を通して深めた生の哲学など、歌にこめられた「個人の思い」を独自の感性で描いている。
著者は福岡県生まれの奈良大学教授。本書は2016年に西日本新聞文化面に連載した「万葉びとの筑紫」を加筆修正した。北九州市の美術教諭、田口順二さんの水彩画が彩りを添えている。
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2017年5月7日 掲載
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