著者は夏目漱石の義理の孫。本書の背表紙には、漱石に関する「探偵的与太話本」の決定版、とある。
ほぼ作品ごとに章が分けられていて、『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『草枕』とおなじみの名作をめぐる逸話を、著者ならではの視点からユニークにかつユーモアたっぷりに描いている。
四半世紀前には、探偵的与太話本の第一弾といえる『漱石先生ぞな、もし』が評判になった。漱石は探偵嫌いで知られ、『草枕』では「何の役に立つかの」と腐(くさ)している。その与太話本の大団円が本書ということになる。(PHP文庫・600円+税)
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2017年5月14日 掲載
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