「片づけられない」「ミスが多い」は脳のクセ。ADHD脳を知れば悩みを克服できるかも?

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マンガでわかる 私って、ADHD脳!?

『マンガでわかる 私って、ADHD脳!?』

著者
司馬理英子 [著]/しおざき忍 [イラスト]
出版社
大和出版
ジャンル
哲学・宗教・心理学/倫理(学)
ISBN
9784804762722
発売日
2017/02/15
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「片づけられない」「ミスが多い」は脳のクセ。ADHD脳を知れば悩みを克服できるかも?

[レビュアー] 印南敦史

近年、「発達障害」という名称を耳にする機会が増えました。また、そのことで悩む人が多いことも広く知られるところです。そこで、基礎的なことがらを知っておくためにご紹介したいのが、『マンガでわかる 私って、ADHD脳!?』(司馬理英子著、しおざき忍漫画、大和出版)です。

著者は、発達障害専門クリニックの院長として、ADHD(注意欠如・多動性障害)や自閉症スペクトラム障害などの発達障害を持つ人々の治療をしているという人物。そんな立場から、本書の冒頭ではこのように記しています。

片づけられない、間に合わない、ミスが多い…こうした悩みをもたれている方は、もしかしたら「ADHD脳」かもしれません。(「はじめに それは『脳のクセ』かもしれません」より)

「ADHD脳」とは、いわばニックネームなのだとか。つまり発達障害のひとつであるADHD傾向にある方を、本書ではこう呼んでいるということ。そして、そういう人のために書かれた本書は、少しでもわかりやすく伝わるようにと、漫画を交えて解説されているわけです。

とはいえここに漫画を掲載することはできないので、文章による解説のなかから要点を引き出してみましょう。

「ADHD脳」の原因って?

そもそも、「ADHD」とはなんなのかという疑問をお持ちの方も少なくないはず。これは「Attention – Deficit/Hyperactivity Disorder(注意欠如・多動性障害)」の略で、自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群など)やLD(学習障害)のような発達障害のひとつなのだそうです。

忘れ物やなくし物が多かったり(不注意)、じっとしていられず、常にもぞもぞ動いてしまったり(多動性)、順番を待てなかったり、人の邪魔をしてしまったり(衝動性)…といった症状が子どものころから見られ、そのために仕事や日常生活に大きな支障がある場合は、ADHDとして診断されるということ。

そしてADHD脳の原因は、おもに脳の「前頭前野(ぜんとうぜんや)」と「側坐核(そくざかく)」に原因があるとされているのだといいます。

【前頭前野】

脳の司令塔。感情や運動、思考をコントロールしたり、過去の記憶を参考にし未来を見すえて行動プランを立てたり、情報をまとめ、どう処理したらいいか指示するなど脳の中枢機能を司る場所です。

ここがうまく働かないと、注意力をうまく持続させることができず、遅刻や忘れ物、ケアレスミスが増えたり、落ち着きのない行き当たりばったりの行動をしたりしがちです。

【側坐核】

楽しみを先延ばしにし、やる気を持続させる役割をします。

ここがうまく働かないと、ワクワクするような刺激がないとすぐ飽きてしまい、日々の活動を継続することが難しくなります。

(40ページより)

ADHD脳の原因は、前頭前野と側坐核、この2つの領域でドーパミンなどの神経伝達物質がうまく働かないことにあると考えられているというのです。

私って、「ADHD脳」?

このように解説されると、「脳の障害なの?」と感じる人もいるかもしれません。が、このことについて著者は「障害というより、『脳のクセ』と考えてほしい」と記しています。

近眼の人や背の高い人がいるように、これもまたひとつの個性にすぎないということ。事実、「ADHD脳だからこそ」の能力を発揮する人もいるのだそうです。

とはいえ、遅刻、忘れ物、先延ばしなど、日常においてさまざまな「困り感」があるのは事実。そのため仕事場で「ダメな人」だと思われたり、自信を失い、能力を十分に発揮できないこともあるわけです。それどころか、うつ状態になってしまうなどの「二次障害」も。

でも自分を責めず、まずは自分の「脳のクセ」を知ることが大切。そして、自分の行動パターンをつかみ、さまざまな工夫をする。そうすれば、日々の「困り感」を減らし、仕事でも能力を発揮できるようになるのだといいます。

「ADHD脳」を乗りこなせれば、結果が変わる

やるべき仕事を目の前にすると、「いつもギリギリでつらかった」仕事の記憶が蘇ってきたり、「うまくできなかったらどうしよう」という不安が湧いてきたりして、なかなかはじめられないという人もいるのではないでしょうか? そういうタイプのために、著者は次の2つの「コツメモ」を紹介しています。

コツメモ1. ざっくり5分だけやってみる

コツメモ2. 全体のデッサンを描く

(56ページより)

とにかくやってみる、全体の分量を把握する。それだけで、「できないかもしれない恐怖心」や「こんなの無理という諦めモード」も減るそうです。実際にやってみると、つい根を詰めてしまうADHD脳の人もいるもの。しかし自分に無理な予定を強いて、「仕事はつらいもの」と思い込んでしまうのは損だという考え方です。

コツメモ3. 1時間ルールでひと息入れる

コツメモ4. 休憩もスケジュールに組み込む

コツメモ5. 自分ミーティングを1日3回開く

(57ページより)

予定のある計画を立て、無理のないように進めて「仕事を楽しむ」スタンスでいることを意識すべき。また、仕事中であっても「あ、忘年会の店探さなきゃ」「そういえば通販でセールやってたな」などと気が散ってしまいがちかもしれません。もし仕事中、そのように別の作業をやりたくなったら、すぐにもとの仕事に戻れるようにしておくこともポイントだといいます。

コツメモ6. タグづけで仕事に戻る

(57ページより)

「どこに戻ればいいか、該当ページに大きな付箋を貼っておく」「マークをつけておく」など、ビジュアルに訴えるものがベターだといいます。

また、仕事中に忘年会のお店を探してしまうなど、つい別のことに取り掛かってしまった場合は、お店のサイトをブックマークして、仕事に戻ることが大切。同じく仕事中に別件のメールを読んでしまった場合は、「『追って返信します』と、まずは簡単な返事をするだけにして、仕事に戻る」。そのように小さな工夫をして、脇道に迷い込まず、最短距離で下の仕事に戻れるようにするといいそうです。

集中力のなさは、驚くような、恐ろしいケアレスミスを生むこともあります。そこで、いい意味で「自分のことは信じられない」と観念し、ダブルチェックを心がけるのが得策。その際、ちょっと立ち位置を変えると、見えないものも見えてくるのだとか。

コツメモ7. 心に「マイ上司」を住まわせる。

(58ページより)

「君の書類はちゃんとしているかね」「まさか、日付なんて間違っていないよね」などと、“ちょっと意地悪な上司”になったつもりで、自分の仕事をチェックしてみるのもいいのだそうです。

そうすることで、気づかなかった記名漏れ、書体の違いや誤字脱字などが見えてくるということ。このように、自分の特性を知り、的確に対処していくことで、結果が大きく変わってくるという考え方です。

ADHD脳の人はこれまで、「おっちょこちょい」「だらしない」「いいかげん」「ずぼら」「うっかり」など、さまざまな言葉に傷つけられてきたかもしれません。しかし脳のクセを知り、成功体験をひとつひとつ積み上げていくことによって、「自分のちょっとした個性」を受け入れていくことができるというわけです。

「脳のクセ」を知り、本書に書かれている考え方をとりいれてみれば、自分自身のことを前向きに捉えることができそうです。「ADHD脳」を受け入れてプラス方向に活用するために、あるいは「ADHD脳」の同僚などを理解するためにも、ぜひ読んでおきたい1冊です。

メディアジーン lifehacker
2017年5月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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