明文堂書店石川松任店「笑撃にして衝撃のミステリ」【書店員レビュー】

レビュー

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純喫茶「一服堂」の四季

『純喫茶「一服堂」の四季』

著者
東川 篤哉 [著]
出版社
講談社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784062936309
発売日
2017/04/14
価格
713円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

明文堂書店石川松任店「笑撃にして衝撃のミステリ」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

 古都鎌倉にひっそりと佇む一軒の純喫茶がある。その古民家にしか見えない純喫茶には、まるで表札のような小さな看板が掲げられており、そこには「一服堂」と書かれている。その店を切り盛りするエプロン姿の女性は人見知りでアガリ性で接客が苦手。接客には不向きな性格の彼女だが、ひとつ変わった特徴がある。それは殺人事件の推理のこととなると性格が豹変することだ。自虐的な罵倒を決め台詞に謎を解き明かす彼女の名前は、ヨリ子さん。名探偵である。
 本書は喫茶店を舞台にした連作ミステリになっています。コミカルな登場人物たちのやり取りが笑いを誘う著者らしい作品でありながら、殺害方法はあまりにも残忍です。しかしその凄惨さには強い必然性があり、そこが魅力になっています。
 各エピソードの意外な真相もさることながら、本書には一冊を通して、ある壮大な仕掛けが施されています。根底を揺るがすような衝撃が結末に待ち受けているのです。ほのかな郷愁(古都鎌倉という舞台がよく似合う!)が強く心を掴む、笑撃にして衝撃のミステリです。

トーハン e-hon
2017年4月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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