仕事ができる人は「走り方」も違う? 「3Sメソッド」を活用して自分の能力をフルに発揮しよう

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

仕事ができる人の「走り方」

『仕事ができる人の「走り方」』

著者
青山剛 [著]
出版社
日本実業出版社
ジャンル
芸術・生活/体育・スポーツ
ISBN
9784534054951
発売日
2017/04/27
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

仕事ができる人は「走り方」も違う? 「3Sメソッド」を活用して自分の能力をフルに発揮しよう

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

仕事ができる人の「走り方」』(青山剛著、日本実業出版社)の著者は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのプロフェッショナル・コーチとして活躍する人物。競技者のみならず初心者、子ども、タレント、経営者まで、さまざまな人々に指導しているのだそうです。

そんななか、「ランニングを長く楽しんで続けられる人」と「仕事ができる人」には多くの共通点があることに気づいたのだといいます。つまり本書ではそのような観点から、「どのようにランニングに取り組めば、人生を豊かにできるのか」「ランニングを続けることで、仕事にどのような好影響が生じるのか」「仕事ができる人のランニングライフとは、どのようなものなのか」を明らかにしているわけです。第1章「あなたはなぜ、走りたいのですか?」をチェックしてみましょう。

自己流で走り続けると不健康になる

長く楽しくランニングを続けるために必要なのは、「正しい走り方」を学んで身につけること。著者はそう断言しています。「走るのだから、足だけを前へ動かせばいい」と考えるのは大間違い。健康のためにそうした走り方を続けるなら、むしろ走らないほうがいいとさえいうのです。なぜなら、足の力だけに頼ってランニングを続けたなら、走れば走るほどケガを増やして不健康になっていくから。

練習メニューは、その人のレベルに応じて組むことができますが、正しい走り方はレベルに関係なく万人に共通するもの。つまり、まず最初に正しい走り方を習得しておかないと、いくら距離を走ってもレベルアップにはつながらないというのです。正しい走り方の習得はランナーにとって「マスト」。そして目的を達成するために必要なのは、「体幹(たいかん)力」を活かした「正しい走り方」だということ。(20ページより)

「体幹で走る」とは、どういうことか?

「体幹で走る」というフレーズは、ランニングトレーニングの現場でよく用いられるのだそうです。でも、それは具体的にどういうことなのでしょうか?

まず体幹とは、体全体から頭、腕、脚を除いた胴体部分のこと。読んで字のごとく、体の幹の部分。腕や脚は木でいうと枝葉(しよう)のイメージであり、胴体である幹のほうが、枝葉よりも強いという捉え方。

わかりやすくいえば、「枝葉=腕や脚は疲れやすい」「幹=胴体部分は疲れにくい」ということ。腕や脚は俊敏に動かせたり、さまざまな細かい作業をコントロールして行うことが可能。しかし筋肉が小さく疲れやすいので、なるべくなら疲れにくい体幹を用いた動きを身につけたほうが、運動の効率化につながるというわけです。

体幹主導で走ったほうがいいわけですが、ランニングの場合に重要なのは「いかに脚を節約して走るか」ということ。足の力をまったく使わないということではなく、「どれだけ負担を減らして走れるか」がポイントになるというのです。

とはいえ、体幹を鍛えればそれでいいというものではないそうです。鍛えた体幹を走りに活かせなければ、なんの意味もないということ。「体幹で走る」ためには、体幹部を強化すると同時に、この部分を上手に使えるようにしなければいけないという考え方です。(22ページより)

自分の能力をフルに発揮できる「3Sメソッド」

体幹力が「100」あったとしても、それを半分しか活用できなければ「50」にすぎません。一方、体幹力がそれほど強くはなく「65」しかなかったとしても、それをフルに活用できたなら「65」になります。つまり体幹の筋力がそれほど強くなかったとしても、体幹力を上手に使うことができれば、パフォーマンスにおいて筋力の強い人を上回ることができるということ。

筋力を強化すること以上に大切なのは、いま保持している能力を、いかに効率よく走りにつなげられるか。身体能力(筋力)は高ければ高いほうがいいでしょうが、それをパフォーマンスにつなぐことができなければ、筋力があっても意味がないということになるわけです。そこで著者が、自分が持つ身体能力を最大限に発揮するために編み出したトレーニング法が「3Sメソッド」

1. ストレッチ(Stretch)

2. スイッチ(Switch=体幹スイッチエクササイズ)

3. ストレングス(Strength=実際に運動を行う<走る>)

(27ページより)

この順番でトレーニングを行えば、いま維持している肉体能力をフルに活用できるというのです。やり方は、次のとおり。

まずはストレッチで、体に柔軟性を宿すところからスタート。筋肉が固まったままの状態では上手に動き出すことは不可能。それどころか筋肉を硬くしたまま動けば、怪我をする可能性が極めて高くなってしまうといいます。なお、これはランニングに限らず、すべてのスポーツに共通する「やるべきこと」。

スイッチは体幹のトレーニングにあたるものですが、単に筋力トレーニングを指すのではないそうです。筋力を強化するというよりも、それまでに持っていた筋力を使えるようにするためのトレーニングだということ。筋力が「100」あれば「100」を、「65」であれば「65」をフルに活用できるようにするためのエクササイズだということです。

具体的に説明すると、ランニングにおいて体幹力を活かすためには、「腹筋」と「お尻の筋肉」をしっかりと活用する必要があります。この2カ所を上手に稼働できれば、体幹力を活かした走りが実現するのです。さらに言えば、肩甲骨もなめらかに動かせるようにし、骨盤の動きを誘発する必要があります。これらの部分に、しっかりとスイッチを入れるようにしましょう。

走り始めるのは、それからです。

(28ページより)

体に柔軟性を宿し、ランニングに必要な筋肉にスイッチが入ったなら準備はOK。それから動けば、「体幹力を活かしたランニングフォーム」で快適に走れるそうです。そしてこの3Sのメソッドは、ランニングのみならず、あらゆるスポーツに適応できるのだとか。

体幹トレーニングを行うことは、とても大切。しかし、いくら鍛えたとしても使えなければ、走りに関してはなんの意味もないと著者。「走りで使える体幹」を目指すのであれば、「3S」は欠かせないわけです。(26ページより)

すべてのランナーに共通する、成果を上げるための公式

ランナーの目標がどのようなものであれ、目標達成に向けてのトレーニング公式はただひとつなのだそうです。それは、「A×B=P」

ランニングの成果を上げるための公式

A(正しい走り方)

    ×

B(練習メニュー、練習量)

     II

P(パフォーマンス)

(35ページより)

走る前に必ずストレッチと体幹スイッチエクササイズを行い、体を柔らかくしたうえで腹筋、お尻に筋肉などにしっかりスイッチを入れてから走る。すると、体幹力を活かした「正しい走り方」が実現するというわけです。

そして、これは仕事にも共通すると著者はいいます。成績を上げている人は、その仕事を効率よく行ううえで、なにをどのようにすべきなのかという「自分の正しいフォーム」をしっかり身につけているということ。そのうえで仕事に取り組むからこそ、さほど時間をかけずにしっかりと成果を上げることができるというのです。

逆に「なにをやるべきか」が理解できないまま、ただ闇雲に目先のことをやろうとしても、時間をとられるばかりで、効率よく仕事を進めることはできないわけです。いわば「A×B=P」は、目標達成のための不変の公式。(32ページより)

こうした考え方を軸として、以後の章では走り方に関するさまざまなメソッドが紹介されています。走りの、そして仕事のパフォーマンスを上げるためにも、手にとってみてはいかがでしょうか?

メディアジーン lifehacker
2017年5月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク