『イートン校の2羽のフクロウ』 ジョナサン・フランクリン著

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イートン校の2羽のフクロウ

『イートン校の2羽のフクロウ』

著者
Franklin Jonathan [著]/清水 玲奈 [訳]/フランクリン ジョナサン [著]
出版社
エクスナレッジ
ISBN
9784767823034
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『イートン校の2羽のフクロウ』 ジョナサン・フランクリン著

[レビュアー] 塚谷裕一(植物学者・東京大教授)

 最近日本ではフクロウ喫茶なるものが大増殖中。フクロウ愛玩はブームの感がある。翻って本書の舞台は一九六〇年頃の英国だ。実話である。

 きっかけは、著者が二羽の、みなしごのフクロウの雛(ひな)を手に入れたことに始まる。問題はこの著者が、名門パブリックスクールの、イートン校に在学中の生徒だったことだった。寄宿舎の舎監は厳しいことで古来有名。きっとダメだと言われると思いきや、連れておいでという返答で、二羽の子フクロウたちは著者とともに鉄道に乗り、タクシーに乗り、やがて寄宿舎の人気者となる。ついにはその顛末(てんまつ)を記した本が、ベストセラーとなるという物語だ。

 フクロウに対しては、無条件に可愛(かわい)いと見る人がいる一方で、極度の恐怖を示す人も少なくないのが、いかにも当時の英国らしい。まだフクロウの飼育事例も少なかったようで、試行錯誤も絶えない。あまりののめり込みように、この生徒(著者)、学業は大丈夫かと心配になるほどだ。やはりその後は苦労したようだが、これだけ楽しい日々を過ごしたなら、それもありかと思えてくる。清水玲奈訳。(エクスナレッジ、1600円)

読売新聞
2017年5月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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