『中央線をゆく、大人の町歩き』
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中央線はこんなにもおもしろい
[レビュアー] 図書新聞
通っていた大学の校舎が八王子にあったから、中央線沿線には友人もたくさん住んでいたし、映画館や古本屋、レコードショップ、喫茶店めぐりにもうってつけだったので、降りたことのない駅はないほど中央線にはお世話になっている。いまは沿線に住んでいるのだから、山手線沿線に生まれ育ち、いまも住んでいるという著者が「アウェイ」という中央線は、私にとって「ホーム」といえるだろう。しかし、だからこそ、というべきなのか、何度も降りているそれら駅については驚くほど無知のまま。本書を読んでその町の新たな魅力に気づき奥深くに分け入ってみれば、知っていたはずの「ホーム」を「アウェイ」な視線で歩くことができそうだ。週末の町歩きが楽しみになる。(4・20刊・二〇八頁・本体六六〇円・河出文庫)