『忍者の兵法 三大秘伝書を読む』
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その生活の実態を探究した忍者研究書
[レビュアー] 図書新聞
忍者と言えば、現代では「かっこいい」「つよい」「はやい」などとキャラづけられ、小説や漫画、ゲームで華々しく活躍しているが、実際の忍者像がどういうものなのかはあまり理解されていない。本書は『正忍記』『万川集海』『忍秘伝』といった忍術秘伝書を中心に、数多くの資料を丁寧に読み解くことで、歴史民俗学的な視点から忍者の本当の姿を明らかにする。各合戦での活動から忍者の起源を論じ(厩戸皇子の時代まで遡る!)、忍術の進化だけでなく、孤独の中に生きる忍者の心構えにも言及していて、その事実と独自の哲学から新たな知見が得られるだろう。著者は、忍者の特徴は多様性にあると言う。ならば、読者もその超人的達人としての側面以外に目を向けなくてはならない。(2・25刊、三五二頁・本体九二〇円・角川ソフィア文庫)