【聞きたい。】松村美香さん 『老後マネー戦略家族!』

インタビュー

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老後マネー戦略家族! (中公文庫)

『老後マネー戦略家族! (中公文庫)』

出版社
中央公論新社
ISBN
9784122063853
発売日
2017/03/22
価格
778円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【聞きたい。】松村美香さん 『老後マネー戦略家族!』


松村美香さん

 ■「東京の4人家族」再生描く

 タイトルを見ると、一見実用書のようにも思える。だが、実は「家族の再生」という普遍的なテーマが根底に描かれている、読後感のさわやかな小説だ。

 「単なるノウハウ本にはしたくなかったんです。経済の話はなるべく分かりやすく、エンタメ仕立ての文章で書いているので、気軽に手に取っていただけるとうれしいですね」

 今作の主人公は、東京の一軒家に住む4人家族。家族との距離感に悩む仕事人間の夫に、老後資金のやりくりに悩み始めた主婦の妻。大手企業に就職したものの、パワーハラスメントを受け退職した長男に、そもそも何の仕事をしたいのかが分からない就活中の長女。家族全員がそれぞれのリアルな悩みを抱える。

 「思い切って現実的なことを書こうと思いました。閉塞(へいそく)感のある世の中で生きていくのは、年齢を問わず大変なこと。『負けないで』というメッセージを込めています」

 ストーリー仕立てのため、少額投資非課税制度(NISA)などの概要も頭に入りやすい。「金融リテラシー(理解し活用する力)は生きるうえで非常に大切ですが、なかなか学ぶ機会がないですよね。各自治体の無料セミナーの話など、身近で学べる場所の話も盛り込みました」

 著者は現役の国際開発コンサルタントでもある。年間3カ月以上はアフリカなど海外諸国で暮らし、インフラ整備のアドバイスなどを手がけているという。「これまで海外が舞台の作品を書いてきたので、日本の中流家族をテーマにした作品は逆に新鮮でした」

 地方に住む親の介護など、4人はそれぞれの悩みを抱える。それでも、親族や近所の住民など新たな人間関係をつくり、助け合いながら成長を続けていく。

 「何歳になっても、やりたいことは一つに絞らなくていいし、途中で変えてもいいと私は思っています。今後も面白いテーマを見つけ、挑戦できれば」(中央公論新社・720円+税)

 本間英士

  ◇

【プロフィル】松村美香

 まつむら・みか 昭和38年、東京都生まれ。平成20年、『ロロ・ジョングランの歌声』で城山三郎経済小説大賞を受賞。

産経新聞
2017年5月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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