1000万円を貯めたシングルマザーに学ぶ「節約脳」のつくり方

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月給13万円でも1000万円貯まる節約生活

『月給13万円でも1000万円貯まる節約生活』

著者
小松美和 [著]
出版社
アスコム
ISBN
9784776209485
発売日
2017/05/19
価格
1,430円(税込)

1000万円を貯めたシングルマザーに学ぶ「節約脳」のつくり方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

月給13万円でも1000万円貯まる節約生活』(小松美和著、アスコム)の著者は、「節約研究家」を自称する4人の子持ちのシングルマザー。22歳で結婚して4人の子どもに恵まれるも、32歳で離婚。以後、慰謝料・養育費をもらわず1000万円貯め、キャッシュで一戸建てを購入したのだそうです。

「まさか」と思われるかもしれませんが、6年間で約1000万円の貯金が達成できました! 福岡県の田舎にある中古物件ですが、庭付きの一戸建てを購入し、子どもたちと一緒に今も楽しく暮らしています。両親の金銭的援助も受けず、38歳で購入したマイホームは、言うなれば「節約御殿」といったところです。実際に試してみた節約術の数は、数えてみたら240以上ありました!(10ページより)

つまり本書ではそのような経験を軸に、節約生活の心構えや、誰にでも続けられる節約テクニックを紹介しているわけです。そんな本書のなかから、きょうは第2章「『節約脳』のつくり方! 目標は『マイホーム購入』ですの巻」に焦点を当ててみましょう。

まずは「節約脳」をつくるためのトレーニングから

節約を習慣にするのは難しいもの。著者自身も、離婚して「少ない収入のなかでどう生活していくか」という状況に追い込まれてから節約を意識しはじめたそうですが、気がつけばいつの間にか節約が習慣になっていたのだとか。

そして、そんな経験があるからこそ、「節約は、『なにかを我慢する』と考えるのではなく、『習慣』として取り込むことで、無理なく持続できるようになる」と主張しています。ほんのちょっと意識を変えてみるだけで、節約は生活に馴染んでくれるし、そうなれば自然と節約のアイデアも浮かぶようになってくるというのです。

そこで著者は、まずそんな「節約脳」をつくるトレーニングをすることを進めていますが、それは意外にシンプル。大事なことは、たったふたつだけなのだとか。

【1】「ムダに気づくクセ」をつける

【2】物を捨てるときは、ほかに使い道がないか「あと1回」考える

(52ページより)

節約の原点は「ムダに気づく」こと

【1】の「ムダに気づく」は、節約の原点。ちょっと考えてみると、日々の生活で見過ごしている「ムダ」がいかに多いかに気づくといいます。

・ 歯磨きをしているとき、水を出しっぱなしにしていませんか?

・ お風呂で髪や体を洗う際、シャワーを出しっぱなしにしていませんか?

・ 安いからと買ってみたものの、一度も使っていない物であふれていませんか?

・ すぐ戻ってくるからと、テレビやエアコンをつけたままにしていませんか?

・ 利用していないのに、惰性で引き落とされているサービスはないですか?

・ 便利だからと、コンビニATMで毎回、手数料を支払っていませんか?

そして極めつけは…。

・節約しても、せいぜい数百円しか違わないと思っていませんか?

(52ページより)

たしかに一度の節約で抑えられる支出は、数百円程度のこともあるでしょう。しかし仮に200円の節約ができるアイデアが300個あるとすると、1年で6万円になるという考え方。それどころか、著者が考案した節約術をうまく活用すれば、年間60万円程度の説角も可能になるのだそうです。

ムダに気づくための方法はいろいろですが、節約脳が鍛えられるまでは、自分でこまめに意識していくしかないといいます。たとえば電気の消し忘れや、水の出しっぱなしなどをしないように、目につく場所に「消し忘れ注意」「出しっぱなしにしない」などと書いた紙を貼っておく

最初のうちは「あ、ムダだった!」と考えながら行動するでしょうが、やがて体が自然と覚えていって、紙を剥がしても電気を消せるようになったり、蛇口を閉められるようになるというのです。そこまで到達すれば、節約脳はできあがっているも同然。

また1日を振り返ってみて、「これはムダだったな」と感じたことをノートに書き出してみるのもオススメだとか。

・ オフィスの自分の席にペットボトルの水が1本あるのに、出先でまた1本買ってしまった

・ 毎朝、缶コーヒーを買って出社するけど、だったら自宅からマグボトルを持っていけばいいのでは?

・ あと10分早ければ、ATMの手数料が無料で済んだ

・ 携帯電話の充電器を忘れて、またコンビニで購入してしまった

(55ページより)

このように改めて考えることで気づけるムダがあるということ。なお1週間をまとめて振り返ろうとするとなかなか思い出せないので、1日単位がベストだとか。しかも毎日やるのが難しければ、1週間のうちの数日でもOK。まずはムダに気づくクセをつけることが大切だというわけです。(50ページより)

物を捨てる前に「あと1回」考える

次に、「【2】物を捨てるときは、ほかに使い道がないか「あと1回」考える」について。この「あと1回」とは、なにかを捨てる際には必ず「あともう1回、別のなにかに使えないかな?」と考えることだそうです。

ここでその例として挙げられているのが、穴の空いてしまった靴下。普通に考えればそのままゴミ箱行きとなるでしょうが、こういうときに「あと1回、別のなにかに使えないかな?」と考えてみるべきだというのです。

たとえば、洗濯して濡れた状態のその靴下を手にはめ、砂埃のたまりやすい窓のサッシを掃除してからゴミ箱に捨てる。他にも野菜クズでキッチンのシンクを掃除したり、食品保存用のラップの芯を短くカットして、冷蔵庫のチューブ類のスタンドに。あるいは外出に履けなくなった古い靴は、ベランダや庭に出るときに使ったり。

こうしたアイデアはみんな、捨てる前に「あと1回、なにかに使えないかな?」と考えて浮かんだ利用法なのだそうです。

今までだったら何も考えずにポイッと捨ててしまっていたものを、一瞬、考えるクセをつける。これも節約の習慣のひとつです。

節約することによる実質的なメリットのほかに、物を別の視点から見ることで、本来の役割とは違う利用法を見つけるという、生活スキルの向上にもつながります。(58ページより)

続けていれば、きっと思わぬ節約アイデアが浮かんでくるはずだと著者はいいます。(56ページより)

まずは自分の得意分野から。トライ&エラーで守備範囲を広げよう

「節約」といっても幅は広く、入り口はさまざま。どこからはじめたらいいのか、わからなくても当然です。生活に密着している水道光熱費(水道・電気・ガス)ははじめやすいジャンルだそうですが、ベストは自分の得意分野からはじめること。

・計算や分析が得意な人は、家計簿からムダな部分を洗い出しコストカット

・料理が得意な人は、節約レシピで食費の削減

・手先が器用な人は、生活用品をDIYや手作りグッズで

・リサーチが得意な人は、買いたい商品の最安値を徹底リサーチ

・ナチュラル志向の人なら、掃除用洗剤や化粧水を手作りして安上がりに

・細々としたことが苦手な人は、フリーマーケットでおこづかい稼ぎ

(70ページより)

好きなことや得意なことであれば、節約していることを意識せずに楽しんで続けていくことが可能だということ。とはいえ、どんな節約術が自分に合っているかは、実際にやってみないとわからないものでもあります。当然ながら、失敗だってあるかもしれません。

しかし失敗もまた、貴重なデータだと著者はいいます。節約術はトライ&エラーの繰り返しから生まれるものなので、まずはやってみることが大切だということ。その結果、自分のスタイルに合わないと感じたら、無理せずにやめるという姿勢でいればいいというのです。

どうせやるなら、自分がやってみたい、得意だと感じる分野からはじめてみる。それが節約を長く楽しむコツだと著者はいいます。(70ページより)

節約という言葉には「苦しいもの」というようなイメージもついて回るかもしれませんが、著者が強調しているのは「楽しむ」こと。たしかに楽しむことができれば、それは持続につながるはず。その結果、お金が貯まっていくのなら、挑戦してみるべきかもしれません。

メディアジーン lifehacker
2017年5月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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