『日本古代女帝論』 義江明子著

レビュー

7
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日本古代女帝論

『日本古代女帝論』

著者
義江 明子 [著]
出版社
塙書房
ジャンル
歴史・地理/日本歴史
ISBN
9784827312904
発売日
2017/03/27
価格
11,880円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『日本古代女帝論』 義江明子著

[レビュアー] 出口治明(ライフネット生命保険会長)

 高価な学術書である。それでも紹介したいと思ったのは、天皇制が課題を抱えていると思うからだ。イギリスの王位継承者は数千人といわれるが、わが国では、皇太子殿下より年少の皇位継承者はお2人。女性天皇や女性宮家を検討すべきという意見も出ている。その際、参考になるのは古代の女帝の在り方だ。

 これまで、古代の女帝は「中継ぎ論」や「巫女(みこ)論」の範疇(はんちゅう)で語られてきた。著者は丹念に史料を紐解(ひもと)き、群臣推挙と王権自立化のせめぎあいの中で、古代の女帝は、男女の社会的優劣が乏しく男女均分相続の慣行をもつ双系的社会を土台に、王族内の長老として「男帝と同質の存在」であったことを明らかにする。実際に政治を動かしていたのは、天武―文武―聖武―淳仁という男性のラインではなく、持統―元明―元正―(光明皇后)―孝謙・称徳という女性のラインだったのだ。推古から称徳までの男帝は8名、女帝は6名で、男女ほぼ同数であったと著者は指摘する。王権史と女性史をクロスさせた力作だ。天皇制の将来を真剣に考えている全ての人に読んでほしい。(塙書房、1万1000円)

読売新聞
2017年5月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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