『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』 川上和人著

レビュー

3
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鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』

著者
川上 和人 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103509110
発売日
2017/04/18
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』 川上和人著

[レビュアー] 稲泉連(ノンフィクションライター)

 なんとも風変わりで愉快な学問の啓蒙(けいもう)書だ。鳥類学者である著者のキャラの濃さに、文字通り声をあげて何度も笑ってしまう。

 冒頭から4、5行に一度は繰り出されるジョークに一瞬、「いったい何の本なのだろうか」という思いも過(よ)ぎるが、いつの間にかそこで語られる内容の高度さに引き込まれ、狐(きつね)につままれたような気持ちになった。火山島でのフィールドワーク、新種発見をめぐる秘話、鳥の様々な生態など専門性の高い内容が、ユーモアのオブラートに包まれて実に分かりやすく描かれている。

 絶海の孤島で蠅(はえ)まみれになって冒険家さながらの調査をしていたかと思えば、森永製菓のキャラクター「キョロちゃん」を生態学的に解説してみる――読者を飽きさせない引き出しの多さに、「鳥を研究すること」への著者のこだわりと愛を感じた。

 鳥類学とはどのような学問であり、その「仕事」の醍醐(だいご)味はいかなるものか。自由奔放な筆致を楽しむうち、鳥と「鳥類学者」なる奇妙な人々に強い関心を抱かざるを得なくなる一冊である。(新潮社、1400円)

読売新聞
2017年5月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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