『うつくしい日々』 蜷川実花写真集

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うつくしい日々

『うつくしい日々』

著者
蜷川 実花 [著]
出版社
河出書房新社
ジャンル
芸術・生活/写真・工芸
ISBN
9784309278407
発売日
2017/05/15
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『うつくしい日々』 蜷川実花写真集

 蜷川実花(にながわみか)さんの写真といえば、網膜に焼き付くほどの極彩色が印象的だ。しかし、舞台演出家だった父、幸雄さんの一周忌にあたる5月に刊行された本書は、雰囲気がかなり違う。

 青空、満開の桜や藤などの花、病室の生体モニター……。色は柔らかく繊細で、像が白く飛んでしまいそうなくらい明るいのだ。

 過去のインタビューで実花さんは「(写真は)シャッターを切ればすぐ結果が出る。感情に直結している」と語った。その言葉に従えば、私人の部分が前面に出た写真集だと言える。

 昨年春、父の死を近くに感じながら撮影した。メメント・モリ(死を思え)。終わりがあるからこそ生の素晴らしさを知り、この世が輝いて見える。しかし、それだけではない。光を集めてしまう涙の凸レンズ越しに見える景色でもあろう。大切な人との別れを前にした感傷的なまぶしさも含まれている。(河出書房新社、1800円)(睦)

読売新聞
2017年5月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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