児童書 『七福神の大阪ツアー』くまざわあかね作、あおきひろえ絵
[レビュアー] 産経新聞社
人々に「福」を授けるため、寝る間も惜しんで働いている7人の神様「七福神」が年に1度の慰安旅行に出かけた先は、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」に通天閣、たこ焼き、お好み焼きの街・大阪。
怒りっぽい毘沙門さん、おやじギャグ全開の大黒さん、いつもニコニコ恵比寿さん、コスプレ大好きの弁天さん、長い頭の福禄寿さん、荷物の多い布袋さん、そして影の薄い寿老人さん。個性豊かなメンバーが遊覧船をド派手な宝船に改造したり、日本一長い商店街で食べ歩きをしたり、寄席で落語を聞いたりしながら、出会った人に福を授けて大阪めぐり。だが、USJでは大失敗し、子供やスタッフに怒られ…。
無邪気な神様たちが繰り広げるドタバタ喜劇で、落語感覚の創作童話。それもそのはず、作者のくまざわさんは大阪生まれの落語作家。絵を担当したあおきさんも、絵本作家でアマチュア落語家。声に出して読むと、会話でつなぐ物語の面白さがさらに広がる。(ひさかたチャイルド・1300円+税)(服部素子)