『ファイト』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『ファイト』佐藤賢一著
[レビュアー] 産経新聞社
〈喋(しゃべ)りすぎた。我ながら、嫌になる〉〈俺は思う。強い--この男は、べらぼうに強い〉。史上最も有名なボクサー、モハメド・アリの試合を、アリの目線から一人称で描く。選ばれたのは「キンシャサの奇跡」と呼ばれたジョージ・フォアマン戦など4試合。
〈左、左、左、左、それからガツンと右が打たれる〉。軽やかにステップを踏みながらパンチを繰り出すボクサーのような、歯切れのいいリズミカルな言葉で試合が再現される。恐怖、闘志、歓喜、焦燥…。リング上の濃密な時間をリアルに追体験させてくれるユニークなスポーツ小説。(中央公論新社・1700円+税)