『スマホ廃人』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『大人を黙らせるインターネットの歩き方』
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危険なのは無自覚な依存 巨大ビジネスへの警鐘
[レビュアー] 碓井広義(メディア文化評論家)
実はツイッターやフェイスブックどころか、携帯メールもやっていない。携帯電話はガラケーを愛用しており、スマホへの変更予定もない。それで不便なく生活し、仕事もしている。
理屈ではなく感覚的にというか本能的にというか、スマホを持つことで増えそうなストレスを回避してきたのだと思う。石川結貴『スマホ廃人』を読むと、そんな選択があながち間違っていなかったと分かる。
まず中高生とLINEやツイッターの関係が心配だ。連絡を取り合うには便利だが、時間や状況にかかわらずつながってしまう「常時フォロー」の負担が大きい。また、「学年LINE」など“招待制”のシステムでは、仲間はずれになることへの不安だけでなく、所属するグループのランクもプレッシャーになるという。
本書では大人たちの実例も豊富だ。手軽で、身体感覚にマッチし、刺激も得られるスマホは無自覚な依存に陥りやすい。特に子供だけでなく大人も引き込むスマホゲームは一兆円産業に近づく勢いだ。巨大ビジネスが導く、「廃人」への道に著者は警鐘を鳴らす。
それに対し、「スマホは単なる道具。リスクと対処法を知れば怖くない」と説くのが小木曽健『大人を黙らせるインターネットの歩き方』(ちくまプリマー新書)だ。著者はネットゲーム会社「グリー」の安心安全チームマネージャー。時間を奪うからとネットやスマホをやめるのではなく、どのように使い方を改善するかを提案している。



























