荒唐無稽ではないSFパニック

レビュー

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

磁極反転の日

『磁極反転の日』

著者
伊与原 新 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784101207612
発売日
2017/03/29
価格
907円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

荒唐無稽ではないSFパニック

[レビュアー] 図書新聞

 N極とS極が狂い始めた! 東京上空にオーロラが出現し、磁気嵐で通信網は混乱。果たしてその現象は、人類に一体どんな影響を及ぼすのか……。荒唐無稽なSFパニック作品に見えながら、理系出身の著者ならではの実証的記述が、緊張の糸を緩めない。そこに妊婦の失踪事件、謎の白装束集団という要素が加わり、ミステリとしての仕掛けも施された贅沢な設え。明らかに三・一一以後に書かれた物語であり、科学とは何かも問うている。とりわけ「大事なことってさ(中略)想像力なんだね」というセリフが心に響く。あとがきによれば「直近の逆転からすでに七十八万年が経過しており、過去の逆転ペースから考えれば、いつこの人類未経験のイベントが始まってもおかしくありません」とのこと。荒唐無稽の前言は取り消し。(4・1刊、六一六頁・本体八四〇円・新潮文庫)

図書新聞
2017年6月17日号(3307号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加