小説の面白さ・巧みさをとことん追求

レビュー

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楽園への道

『楽園への道』

著者
マリオ・バルガス=リョサ [著]/田村 さと子 [訳]
出版社
河出書房新社
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784309464411
発売日
2017/05/09
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

小説の面白さ・巧みさをとことん追求

[レビュアー] 図書新聞

 19世紀前半のフランスで活動した女性解放家フローラ・トリスタン、その孫は画家のポール・ゴーギャン。本書はこの二人の数奇な人生をめぐる歴史小説。政治と芸術における二人の反逆者に対するバルガス=リョサの強い共感もさることながら、この作家お得意の、物語が交互に語られる構成は、異なる場所・時間において展開される出来事を鮮明に描き出し、重層的な文学世界を生み出している。また、小説の「作者」が全知の語り手として入り込み、主人公たちに、そして読者に優しく語りかけ、詩的な面白さをもたらしている。さらに、ゴッホはもちろん、フローラの物語ではフーリエやマルクスの逸話も用意、その語りは決して読者を飽きさせない。衰えることのない創作意欲だ。田村さと子訳。(5・20刊、六四〇頁・本体一四〇〇円・河出文庫)

図書新聞
2017年6月17日号(3307号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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