産む・産まない自由の選択。女性が自分の人生を生きるには?

インタビュー

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わたしが子どもをもたない理由(わけ)

『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』

著者
下重暁子 [著]
出版社
かんき出版
ISBN
9784761272555
発売日
2017/05/24
価格
1,188円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

産む・産まない自由の選択。女性が自分の人生を生きるには?

『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』の著者・下重暁子さん
『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』の著者・下重暁子さん

近年、ゆるやかな減少傾向が続いている日本の出生率。そんな気風の中「子どもを産む・産まない」は義務ではないにも関わらず、多くの女性にとって無言の圧力となっています。『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』は、子どもをもたない選択をした下重先生の生き方をまとめたもので、自分の人生を生きたいと願う女性たちの背中をそっと押してくれる一冊です。執筆の背景について、お話を伺いました。

 ***

――本書を執筆するきっかけを教えていただけますか?

何年か前の女性誌のインタビューで、女優の山口智子さんの「子どもを産まない選択をした」という発言に対する世間の反応に違和感を抱いたことがひとつのきっかけです。彼女の生き方に対して、「立派だ!」と拍手を送る人もいれば、「結婚したら子どもを作るのが当たり前」という常識派からの非難もあり、賛否両論が巻き起こりました。私はその現象を見て、そんな普通のことに対してどうして過剰に反応するの? と驚きました。だって山口さんがひとりの女性として産まない選択したのは、ごく自然のことです。他人がとやかく言うことではないですよね。産みたくない人がいれば、産みたい人もいる。それでいいはずなのに、「産まない」と誰かが言うと大騒ぎになるのは、「女は子どもを産むもの」という刷り込みがあるからだと思いました。

――本書の最終章では、10名の子どもをもたない方々の声が掲載されています。何か感じるところはありましたか?

本音を言っている人も言っていない人もいると思いますが、やはり「子どもをもたない人生、それでいいのだろうか?」という迷いとも不安ともとれるものが随所に垣間見えました。自信を持って「子どもを持たないのが私の生き方です!」と言っている人は少なかったですね。それはいささか残念ではあります。ただ、『家族という病』(幻冬社)を書いたときにいちばん多かった反響が、「これを読んで肩の荷がおりました」というものでした。今回の『私が子どもをもたない理由(わけ)』も、自分で人生の選択をしたにもかかわらず、これでいいのだろうか? と悩んでいる人たちの肩の荷をおろすために書いたようなもの。書くことは私にとっての自己表現だから、それで私も荷をおろしている気がします。実は一番ラクになっているのは私なのかもしれないですね(笑)。

――執筆中、印象に残るエピソードなどはありましたか?

私は40代、50代の若い友人との付き合いを大切にしています。その中に子どもをもっている男性がいて、「どうして子どもを持つことにしたの?」と聞いてみたのです。そうしたら「何にも考えなかった」と彼は答えました。「結婚して自然に子どもができた」と。そうだろうな、と思います。いろいろと真剣に突き詰めて考えたら、子どもなんて作れません。ところが彼は、今になってみて子どもを持つということについて考えるし、私が言うこともなんとなくわかると言うんです。それはやはり、子育てにものすごく悩んでいるからなんですね。子どもを作る時は何も考えていないのに、後になっていろいろと考える。それが現実だと思います。子どもの出生は親の責任ですから、親が思い悩むというのは自然なことだと思います。

――なるほど。この本は、すでに親となった人が子どもを持つということをもう一度考え直すきっかけにもなるんですね

そうあって欲しいですね。子どもは親のものではなく、社会のものなんですよ。5〜6歳くらいまでは家庭で親が責任を持ってしつけなきゃいけないけれど、その後ある程度自分でものごとを考えられるようになったら、子どもだって個です。ひとりの人間として扱ってあげなきゃいけないし、そうじゃないといつまでたっても子離れ・親離れができない。親と子は、違う人なのです。親は自分の身体を使って子どもを産んだから一心同体のように思い込みがちですが、そうじゃない。子どもはいつか社会にお帰しするものなのです。

文/土谷沙織

かんき出版
2017年6月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

かんき出版

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