高田文夫×相沢直「突っ込みとは、訂正力である!」――『また出た 私だけが知っている金言・笑言・名言録(2)』刊行記念対談

対談・鼎談

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また出た 私だけが知っている金言・笑言・名言録②

『また出た 私だけが知っている金言・笑言・名言録②』

著者
高田 文夫 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103400929
発売日
2017/06/16
価格
1,188円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

突っ込みとは、訂正力である!


左から相沢直氏、高田文夫氏

高田 どうも、タブレット純です!

相沢 (笑)高田先生の書籍といえば、古今東西さまざまな芸人さんを取り上げることで知られていますが、今回の本では、ムード歌謡漫談で注目を集めている、タブレット純さんも登場しますね。

高田 なかなか彼を取り上げる人はいないでしょ? タブレット純の上手なイジり方を知っているのは俺ぐらいだからね。イジり方もイカせ方も知っているんだから……って、俺は上質なAV男優か!?

相沢 『また出た 私だけが知っている金言・笑言・名言録(2)』はタイトル通り、第2作目ということですが、そもそもこのシリーズはどうして生まれたのでしょうか。

高田 金言集とか名言集というのはよくあるでしょ。でも笑言と、それにまつわる笑い話やエピソードとなると、書けるのは私しかいないだろうと、新潮社から声をかけてもらったんだ。

相沢 でも芸人さんだけでなく、本当に多岐にわたる人たちの言葉が集まっていますね。

高田 芸事でも何でも同じだけど、20代や30代の読者が知りたい芸人に詳しいとか、60代の人だけが喜ぶエピソードに詳しいとか、年代ごとに語れたり書けたりする人はいるんだよね。でも、10代から70代まで、どの年代の読者にも色々なエピソードを提供できるのは俺だけだろうという自負はある。1980年代の漫才ブームの時、俺は番組制作をはじめ、直接関わった。で、今回の落語ブームだけど、周りを見回してみると、同じ立場で残っているのは俺だけ。両方の時代に現場に居たのは俺だけなんだよね。漫才ブームでは(ビート)たけしさんがいて、落語ブームではクドカン(宮藤官九郎)がいてね。評論家は資料で書くかもしれないけど、俺は常にそこにいたからね。

相沢 両方のブームを、まさにオンタイムで知ってらっしゃるわけですね。やはりその現場に、居ることが大事なんですね。

高田 そう。関わること、首を突っ込んでいるのが大事だよ。どれだけおっちょこちょいで野次馬でいるかってことでもあるよね。

相沢 それにしても、高田先生はテレビはもちろん、ラジオも聴くし、落語会や芝居やライブにもこまめに足を運ばれるし、とにかく現場で“観て”いらっしゃいますね。

高田 本当に好きなんだよ。子供の頃からテレビとラジオが大好きで。三木のり平さん、八波むと志さんを観ていると、本当に幸せだった。それは今も同じで、面白い喜劇人を観ているときほど、幸せな時間はないね。今でもそう。若手でも面白い子を観るのはたまらない。三四郎とかカミナリとかミキね、観ていて嬉しくてしかたないよ。それでラジオに呼んで直接話もする。このスタイルはずっと変わらないね。

相沢 でも、自分の一番好きな事が仕事になってしまうと、嫌になってしまうこともあるじゃないですか。自宅ではお笑い関係は一切、シャットアウトするとか。そういう方もいらっしゃいますよね。

高田 スケールは違うけど、長嶋茂雄さん。凄いでしょ。6月4日のイースタンリーグの試合で始球式に出て、小学生のピッチャーに4球投げさせたんだよ。残念ながら打てなかったけど、長嶋さん、そのうち必ず打つつもりでいるね。だから辛いリハビリも、まったく苦にならないんだと思う。

相沢 本当に野球が好きなんですね。高田先生がお笑いを好きなのと同じですね。

高田 きっと長嶋さんは家に帰っても素振りしているよ。俺も家に帰ったらカミさんに冗談ばっかり言っている。これがラジオより面白いんだから。が人一倍厳しいからさ、よりレベルが上がるんだよね。

相沢 ところで、この本は笑えるエピソードも満載ですが、もう一つ、貴重な戦後の大衆芸能の歴史を教えてくれる本でもあると思います。前からお伺いしたかったのですが、高田先生は常にメモを取っておられるのですか?

高田 基本は頭の中だな。自分で面白いと思った事はすぐに記憶しちゃう。でも、長いものとかはメモを取るようにしているから、記憶とメモと二刀流だな。

相沢 僕は今、水道橋博士が主宰しているネットマガジン『メルマ旬報』で、この春から高田先生の評伝『ギョロメ伝』を連載しています。毎月、取材で高田先生にお会いして、生い立ち、時代背景から世相、文化まで、とにかく根掘り葉掘りエピソードをうかがって、後で調べ直すんですが、高田先生の記憶力がもの凄く正確なので、取材のたびに、驚きの連続です。

高田 とにかく覚えた事は忘れないんだ。これを特技というのかね。

相沢 先生は芸人さんの好き嫌いはあるんですか。

高田 よく“関西系は嫌いでしょ”と聞かれるけど、そんなことない。基本的に全員好きだね。

相沢 たしかに、本ではダウンタウンや銀シャリの話も出てきますし、関西の笑芸界の話題も紹介されてますよね。

新潮社 波
2017年7月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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