リーダーに強さは不要。強いチームを作るには「フォロワー」を共感させること

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リーダーに強さは不要。強いチームを作るには「フォロワー」を共感させること

[レビュアー] 印南敦史

リーダー論では一般的に、リーダーとしてのあり方、やり方が語られるもの。しかし、そこには「フォロワー」に対する言及が欠けている、そこに問題があると指摘するのは、『リーダーに強さはいらない フォロワーを育て、最高のチームをつくる』(三城雄児著、あさ出版)の著者です。

フォロワーとは、リーダーと一緒にチームを動かしてくれる人。

会社でいえば社長を支えてくれる幹部の人、部署でいえば部長や課長のもとで貢献してくれている2番手や3番手。

一般的に、リーダー教育では、強くて有能なリーダーであれといわれますが、リーダーをリーダーにしてくれるのは周囲の人たちです。(「はじめに」より)

事実、組織人事戦略コンサルタントである著者はコンサルティングの現場において、リーダーがすごすぎたり、リーダーがひとりでがんばりすぎるために、誰もついていくことができず機能不全に陥っているチームをたくさん見てきたのだそうです。

強いチームには強いフォロワーがいます。

リーダーは強くなくていいのです。

カリスマである必要もありません。

極論すれば、弱いリーダーでも強いチームをつくれるのです。

(「はじめに」より)

フォロワーを活かすことができれば、リーダーとしての余裕が生まれ、結果的に「強いリーダー」としての威厳も風格も出てくるということ。つまり、フォロワーを活かす方法こそ、リーダーとしてのスタート地点で語られるべきだというのです。

では、フォロワーからの信頼を得るために、リーダーはなにをすべきなのでしょうか? この点を探るべく、第3章「フォロワーが集まるリーダーになるために」を見てみたいと思います。

「Why」を語ろう

リーダーが最初にやるべきは、「Whyを語ること」だと著者はいいます。つまりそれは、「なぜやるのか」「なんのためにやるのか」「誰のためにやりたいのか」「どこに向かっていくのか」といった目的と意義を、フォロワーたちに示してあげるということ。

たとえば、吉田松陰、坂本龍馬といったリーダーたちには、「新しい日本をつくる」というビジョンがありました。

幕藩体制や身分制度などの障害をはねのけて、「私がやる。そのためには命も賭ける」という覚悟があり、そのほかの武士たちもお金や身分ではなく、「ビジョン」に共感して集まってきました。

こうしたチームは強く、簡単には崩れません。(86ページより)

リーダー経験がまったくなかったとしても、周囲が納得するような実績がなくても、リーダー自らが思いを強く宣言するだけで、そのビジョンに賛同する人たちが集まってくるはずだというのです。

逆に「なにかできたらいいな」という温度感で語っているうちは、誰もついてきてくれないもの。「○○できますように」という願望ではなく、「必ずやります。見ていてください」という宣言にリーダーの本気度が表れ、そのビジョンに共感してフォロワーが自主的に動くようになるということです。

大切なのは、リーダーができるだけ具体的に、同じ景色が見えるように話すこと。目指すべき姿を描ける「ビジョン構築力」があれば、そのビジョンに惹かれてメンバーは集まってくるといいます。いわば「リーダーだからすごい」のではなく、「見せる世界がすごい」のがリーダーだという考え方。(84ページより)

1日1回自分と向き合う

とはいえ壮大なビジョンを描いても、フォロワーたちにきちんと伝わらなければ意味がありません。それどころか、あらぬ誤解や衝突が起きてしまう危険性も。そこで、フォロワーに正確に伝えるためにも、「内省する時間」を習慣化すべきだと著者は主張しています。いうまでもなく「内省」とは、自分自身の考えや行動を顧みること。自分と自分の周囲の世界を俯瞰して観察すべきだというわけです。

まず、誰とも話さずにひとりで、リラックスした状態を心がける。すると、いま自分に起こっていることが俯瞰的に見えるようになり、自分と自分の身の回りに起こっていることを生き生きとイメージできるようになるそうです。

理想は、1日1回自分と向き合うこと。タイミングはいつでもよく、自分自身ですでに習慣化していることにくっつけて実行すると習慣化しやすくなるといいます。そして落ち着く環境ができたら、さっそく自分自身に問いかけてみる。

・あなたにとって、チームとは何ですか?

・あなたにとって、リーダーとは何ですか?

・あなたにとって、フォロワーとは何ですか?

・あなたにとって、人生とは何ですか?

・あなたにとって、仕事とは何ですか?

・あなたにとって、幸せとは何ですか?

(89ページより)

考え込む必要はなく、全部で1分もあれば十分だとか。大切なのは、思い浮かんだ答えをできるだけ短い言葉にすること。そして、そのとき頭のなかで描いたものを自分以外の相手にも伝え、自分と同じ映像が浮かぶかどうかを確認、1カ月くらい続けてみると、イメージを描く力、伝える力が身につくといいます。

先にも触れたとおり、重要なポイントは「俯瞰して世界を見ること」。自分を頭上から見下ろすようなイメージだそうですが、つまりは視点を広く持つことで、自分自身の言動やあり方を客観的に見ることが重要だということです。

注意したいのは、相手に先入観を持つこと。「あの人、ダメだな」という意識を持ってしまうと、俯瞰したところで自分を変えることは不可能。思い込みが視野を狭くするということです。そこで、そんなときは「事実」のみを扱って、「人」を扱わないことが大切。なぜなら事実を正しく見ないと、解決策を見つけることができないから。

事実を見て、そこで起こっていることを俯瞰的に見る。「自分はその事実に対してどういう態度をとっているのか」「相手はそれをどう感じたのか」などを想像してから、相手に怒っている事象を観察する。つまり重要なのは、自分を含めた「世界全体」を観察することだといいます。(88ページより)

「指示をしない」指示の仕方とは?

人に動いてもらうときには、「どう伝えるか」が大切。その際の効果的な伝え方のひとつが、「つぶやく」ことだと著者は記しています。リーダーは「こうしなさい」と指示しがちだけれども、それでは単なる命令。いわれた側は当然ながら、「やらされている」と感じてしまうことになります。本人の意思とは関係なく、やらないと怒られ、やれば誉められるという「アメとムチのマネジメント」。

でも「つぶやく」場合は、指示はしていないことになります。いわれた側がなにかを感じ、「よし、やろう」という自主的な行動を起こすわけです。自ら考えて解決していくので、フォロワーの自主性を引き出すことができるのだといいます。

そしてフォロワーの自主性をより高めたいのであれば、「沈黙」を効果的に使うのも手だとか。たとえば議論をしているとき、「○○さんは、ユニークさが大事だっていってましたね…」とつぶやき、しばらく黙り込む。するとフォロワーは、(ユニークさか…)と考え込むことに。この「間」がポイントだというのです。

さらに続いて「ユニークさってどうやったら出るんでしょうね…」とつぶやけば、フォロワーは(どうすればいいだろう…)と考え出すもの。そのタイミングでリーダーが「ちょっと考えてみましょうか」と声をかければ、あとはせきを切ったように話し合いがはじまるというわけです。

大切なのは「やらされ感」の排除です。

行動分析学によると、行動をしたあとの「行動結果」をポジティブにすると、人の行動を強化できるそうです。

(99ページより)

たとえば会議で発言をしてほしいとき、「発言しろ」と指示するところまではいいとしても、発言したあとに「そんなつまらない意見はいうな!」とリアクションされるなどネガティブな結果が続くと、行動はなくなるということ。しかし「意見してくれたありがとう」「いい意見だね」などとポジティブな「行動結果」があると、その後も同じ行動をするようになるわけです。

指示の仕方はもちろん大切。しかし、それ以上に“行動したあとのひとこと”もリーダーは知っておくべきだと、著者は主張しています。(94ページより)

フォロワーを軸にした共通点を持つ強いチームとして、サイバーエージェント、ザッポス、ザ・リッツカールトンなどの事例も紹介されているところも本書のポイント。リーダーとして本当に必要なものを理解するためには、格好の教科書だといえそうです。

メディアジーン lifehacker
2017年6月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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