『サハラ砂漠塩の道をゆく』 片平孝著

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サハラ砂漠 塩の道をゆく <ヴィジュアル版>

『サハラ砂漠 塩の道をゆく <ヴィジュアル版>』

著者
片平 孝 [著]
出版社
集英社
ジャンル
歴史・地理/旅行
ISBN
9784087208818
発売日
2017/05/17
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『サハラ砂漠塩の道をゆく』 片平孝著

[レビュアー] 稲泉連(ノンフィクションライター)

 アフリカのサハラ砂漠に遠い昔から続く塩の交易路があるという。

 マリ共和国の町・トンブクトゥから往復1500キロ・メートル。商人たちは今も「アザライ」と呼ばれるラクダのキャラバンで、岩塩の鉱床があるタウデニ鉱山へ旅する。そこで切り出される塩の板は、かつて金と同等の価値があったそうだ。

 写真家である著者はアザライに42日間にわたって同行。昔ながらの旅を続ける彼らの姿を丁寧に描き出した。ラクダ使いのアジィ、どこか頼りなく狡猾(こうかつ)な通訳のアブドラ、寡黙な野武士のようなアザライのリーダー・ムスターファ。旅をともにする人々との様々なやり取りに、この「塩の道」を歩くことを夢見てきた著者の直向(ひたむき)な人柄が滲(にじ)む。現在、同地は情勢の悪化で外国人には閉ざされているという。砂漠の大地に育まれた人間の姿と文化を、目にしたままに伝えた貴重な記録だ。(集英社新書、1300円)

読売新聞
2017年6月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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