【聞きたい。】高嶋秀武さん 『高嶋ひでたけの読むラジオ』
[レビュアー] 産経新聞社
■ラジオ人生、自然体で半世紀
東京オリンピック翌年にニッポン放送入社。以来、数々の番組でパーソナリティー(進行役)を務め、今もマイクに向かう。半世紀以上のラジオ人生を振り返り、エピソードをつづった月刊誌連載をまとめた。
「町内の噂話に首を突っ込むみたいなのが好きで、おもしろいことを聞けば人に伝えたくなる。軽薄、よくいえば気取らず自然体の放送で楽しんでいただく。この本も同じように楽しんでもらえればうれしい」
たとえば失敗談。プロ野球ナイター中継と深夜放送『オールナイトニッポン』の掛け持ち時代、ナイター中継中に居眠り…。宿直時の臨時ニュースも手書き原稿の字が読めず、途中で「続いて天気予報です」。
武勇伝も登場する。生放送の情報番組内で渦中の現場に「いきなり電話」する企画では、抗争で一触即発の暴力団本部に「きょうの抗争は?」と直撃し、「どこのもんじゃ!」-。
「失敗も多かったけど、今度は何をやろうかといつも考え、思いついたらすぐやっていた。時代も上司もおおらかでした」
リスナーにも支持され、30代のころは長髪にジーパン姿、ひげをはやし、若者の兄貴分「ヒゲ武」のラジオネームも。19年続いた『お早よう! 中年探偵団』は当時の橋本龍太郎首相も毎朝、洗面所で髪をセットしながら聴いていたという。
「放送って、その場でどんどん過去になっていく、その臨場感。まさに今、マイクの前で感じたことを表現できるのがいい」
他の地域の番組も聴けるインターネットラジオ・radiko(ラジコ)の普及などで、「ラジオのお客さんが戻ってきてる。東京からふるさとへ帰った人とか、昔のリスナーがまた聴いて、私がまだ元気でやっているのが励みになるみたい」。
ご自身も「ラジオでしゃべるのが生きがい」と意気軒高。75歳の今もニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』(月~金曜午前6~8時)で奮闘する。そう、あすも午前3時起きです。(小学館・1000円+税)
三保谷浩輝
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【プロフィル】高嶋秀武
たかしま・ひでたけ 昭和17年、神奈川県生まれ。『大入りダイヤルまだ宵の口』など人気番組を担当。平成2年からフリー。