『石、転がっといたらええやん。』 岸田繁著

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石、転がっといたらええやん。

『石、転がっといたらええやん。』

著者
岸田 繁 [著]
出版社
ロッキング・オン
ISBN
9784860521264
価格
1,458円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『石、転がっといたらええやん。』 岸田繁著

[レビュアー] 伊藤亜紗(美学者・東京工業大准教授)

 ロックバンド「くるり」のボーカル兼ギタリスト、岸田繁が音楽誌に連載していたエッセイ11年分の単行本化。夢のような幼少期の記憶、便器の形状に対する異様なまでのこだわり、日々の食事や散歩、滅亡間近の東京を描いた壮大なSF、自作自演インタビュー……とにかく話の内容もテンションもあちこちに飛ぶ!飛ぶのだが決して散漫ではない。生々しいのだ。目が泳いでいるような、それでいて虎視眈々(たんたん)と狙っているような。

 著者は、家やスタジオにこもっていては曲が作れないそうだ。散歩しながら、あるいは電車で移動中、体ごと動きながらメロディを探し、曲が浮かぶのを待つ。もちろん、それは狙って思い浮かぶようなものではない。おおまかな「網の張り方」はあるとしても、予想を超えた何かを呼び込むことができなければ、ものを作る面白さに出会ったことにはならない。頁(ページ)を繰るごとにハラハラさせられる生々しさは、「さっきまでの自分」からずれ続けるさまよいのプロセスである。そこには、コンサートで聴くくるりの音楽とはまた別種のライブ感がある。

 ロッキング・オン 1350円

読売新聞
2017年7月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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