大人の手にも絵本を
[レビュアー] 図書新聞
大人になって絵本を読まないなんてもったいない。絵本は子どもたちだけのものではない。自由な描線、常識を軽々と越境していく突飛な物語、平易な少ない文章で心に突き刺さる描写、絵本には理解できるとか理解できないとかそういった難しい枠組み自体がない。頁をめくればそこは天国、豊穣な世界が待っている。忙しくて読書する時間なんてないという大人にだって、絵本をぱらぱら読むくらいの時間はあるだろう。歌人であり、稀代のエッセイストでもある穂村弘が、絵本の魅力、素晴らしさを語りつくす。知っている名作も、未知の作品もどれもこれも全部読みたく、そして欲しくなってしまう。自分だけの宝物絵本を持てば、忙しい日々もすこしは生きやすくなるかもしれない。解説は100%ORANGEの及川賢治。(6・20刊、二二四頁・本体七四〇円・河出文庫)