より近く、よりゆっくりと、より寛容に

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閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』

著者
水野 和夫 [著]
出版社
集英社
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784087208832
発売日
2017/05/17
価格
842円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

より近く、よりゆっくりと、より寛容に

[レビュアー] 図書新聞

 世界でテロリズムとゼロ金利が常態化していることは、五百年続いた国民国家と資本主義からなる「近代システム」が機能不全に陥っていることの証拠だという。前著の『資本主義の終焉と歴史の危機』で、利子率変動から「資本主義の終焉」を指摘したが、本書では、投資空間の膨張が止まり、「蒐集」が止まり、世界が「閉じられた空間」になるという。成長無き定常状態。そのとき、日本の選択は。著者は、「国民国家」から「閉じた帝国」へ。「海の国」から「陸の国」へと転換し、財政収支の均衡、エネルギーの自給化、地方政府の自立を提言する。「中世回帰」でもある。そのとき「(人間は)余暇を賢明で快適で裕福な生活のためにどう使うか、という問題に直面するであろう」(ケインズ)。「経済学」は面白い。(5・22刊、二七〇頁・本体七八〇円・集英社新書)

図書新聞
2017年7月15日号(3311号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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