『六田知弘写真集 ロマネスク―光と闇にひそむもの』

レビュー

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六田知弘写真集 ロマネスク─光と闇にひそむもの

『六田知弘写真集 ロマネスク─光と闇にひそむもの』

著者
六田知弘 [著]
出版社
生活の友社
ジャンル
芸術・生活/芸術総記
ISBN
9784908429064
発売日
2017/02/13
価格
8,640円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『六田知弘写真集 ロマネスク―光と闇にひそむもの』

[レビュアー] 出口治明(ライフネット生命保険会長)

 11~12世紀にヨーロッパに広まったロマネスク建築を取り扱った、素晴らしいとしか形容の仕様がない写真集だ。例えば有名な「誘惑されるエヴァ」、ロラン美術館で観(み)た実物よりも魅惑的だ。ロマネスクの魅力は、先(ま)ず人々の想像力を掻(か)き立てる柱頭彫刻にある。「ハープを奏でるロバ」「ドラゴンに食われる男」「(さまざまな)獅子」等々、どのページを見ても引き込まれてしまって目が離せない。次いでタンパン(扉口上部)の荘厳さ。これらを刻んだ石工たちは何を考え、また薄暗い回廊の中で柱頭を見上げた修道僧たちは何を想(おも)ったのだろう。ロマネスク芸術の光と闇、聖と俗が圧倒的な迫力のある写真で僕たちに迫ってくる。何よりも解説が少なく写真の数が多いのがいい。「百聞は一見に如(し)かず」なので、能書きは読まずにひたすらロマネスクの美を眺め続けてほしい。(生活の友社、8000円)

読売新聞
2017年7月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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