『親の依存症によって傷ついている子どもたち』 ジェリー・モー著

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親の依存症によって傷ついている子どもたち

『親の依存症によって傷ついている子どもたち』

著者
ジェリー・モー [著]/水澤 都加佐 [監修、訳]/水澤 寧子 [訳]
出版社
星和書店
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784791109500
発売日
2017/03/23
価格
2,376円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『親の依存症によって傷ついている子どもたち』 ジェリー・モー著

[レビュアー] 長島有里枝(写真家)

 依存症は治療の必要な病気だ。日本では、麻薬などの薬物依存は犯罪と見なされ、罪を償うことがまず期待されるが、アメリカでは心の健康を取り戻すことがより重要とされる。著者は、カリフォルニアのリハビリ施設で依存症者と暮らす子どもの心のケアをおこなうカウンセラーだ。

 回復プログラムに参加する子どもたちは皆、親を助けたいのに何もできない自分を責めている。家庭の秘密を守り、感情を抑え込んで生きる彼らにとって、健全な自尊心を育むことは困難だ。そんな子どもたちに著者が教えるのは、様々な問題を自分から切り離して考えるという方法だ。

 親から依存症を、親の問題から自分を切り離すことで、子どもは親を愛したまま依存症だけを憎むことができるようになり、親の問題を解決するのは自分の仕事ではないと学ぶ。仲間の前で秘密を手放し、感情を認め、子どもらしさを取り戻す彼らが、やがて家族の有りようも変えていく様子には胸を打たれる。依存症家庭に限らず、どんな家族にも応用できる、「家族育て」の指南書だ。水澤都加佐監訳、水澤寧子訳。

 星和書店 2200円

読売新聞
2017年7月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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