イライラを溜め込むお母さんと自己肯定感の低い子どもたち。子育ての非常事態を救うには……。

インタビュー

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イライラを溜め込むお母さんと自己肯定感の低い子どもたち。子育ての非常事態を救うには……。

[文] 秋葉龍一

早乙女紀代美
早乙女紀代美

現代の子育ては「ママたちの非常事態」といわれるほど、お母さんたちに過剰な負担がかかっています。イライラを溜め込み、子育てに悩むお母さんは増えるばかり。また、親のお仕着せの「いい子」の期待にこたえられず、「自分はダメだ」と思っている自己肯定感の低い子どもの多いことが問題になっています。

そんな日本の子育ての現場で、厚く信頼されている心理カウンセラーがいます。早乙女紀代美。キャリア豊富なユング派のセラピストです。横浜を中心に首都圏で開かれる「子育て講座」「電話相談」の超人気講師です。

このたび、早乙女先生が『子育てに大切なのはお母さんが楽しく生きることです。』という本を著しました。悩める子育てママの切実な声に、30年にわたって向き合った中で誕生した一冊です。早乙女先生に現代の子育てについて、お話しをうかがいました。

――いま日本は8割が核家族です。多くのお母さんが孤独な子育てを強いられています。

ほとんどの家庭は、おじいちゃんやおばあちゃんと同居していなくて、地域の繋がりも希薄です。子育ては夫婦だけで、とくにお母さんに負担がのしかかっています。このような家族環境のなかで、お母さんがどうすればらくになるのかを考えることが大切です。そのためには、まずは夫さんとどう一緒にすごすかがポイントになります。

――育児休暇をとるイクメンも増えてきているようですが、夫が子育てに積極的でない、というお母さんの声もよく耳にします。

夫が積極的に育児に関わってもらうためには、夫に対して、「誉める」「認める」「感謝する」ことが大切です。詳しくはこの本で述べていますが、この3つのポイントを押さえれば、夫さんはよろこんで子育てに励んでくれるでしょう。

また妻さんは、夫さんに「子育て」というすばらしいプレゼントをあげる、と考えてみてはどうでしょう。父親が子どもと小さいときから親密に接すると情愛が生まれます。子育ては男性にとっても素晴らしい人生体験なのです。むかしの日本の男性は可哀想で、多くの父親が自分の子どもとしゃべることができなかったのですから。子どもと小さいころから関わらないと、大きくなったらますます話せなくなり、お父さんは子どもとまったくコミュニケートできなくなります。

お父さん、お母さん、子ども、その家族みんなが幸せになることです。それが子育ての基本。お父さんが子育てをやってくれると、お母さんもうれしい。夫婦仲がよく、家の中の空気がよくなれば、子どもはその空気を吸って、安心してのびのび成長できます。

*「自分はダメな人間だと思うことがありますか」
*「自分はダメな人間だと思うことがありますか」

――日本の子どもたちの自己肯定感の低さに驚きます。外国(米・中・韓)と比べてきわだっていて、日本の子どもの72%以上が「自分はダメな人間」(*)だと思っています。

自己肯定感を育むには「いい子になりなさい」ではなく「ありのままのあなたでいいんだよ」と子どもを丸ごと受け入れることです。たとえば、テストの点数がいいとか、明るい性格だとか、親の手伝いをよくするとか、そんな子が「いい子」と呼ばれます。このように一定の条件を満たした子どもだけが「いい子」と親から認められるのです。そんな「いい子の条件」のハードルを超えられなかった子どもは、自分を肯定できず「ダメな子」と思ってしまうのです。

自己肯定感の高い人として成長するには、能力や性格などの弱点や苦手なことも含めて、条件を付けずにありのまま子どもを受け入れることです。

子育てとは、自分で自分を幸せにすることができる人を育てることです。それは親や社会が期待する「いい子」をつくることではありません。

そして大切なのが、お母さん自身が楽しく生きることです。お母さんが幸せだと、子どもはこの世界と自分自身を肯定することができ、それがすくすく育つ土台となります。いい子に育てようなんて無理をしないで、お母さん自身がらくに楽しく生きていればいいのです。するとかならず、子どもは幸せな人間になります。

――子育てにイライラしているお母さんが多いようです。

日本は子どもにたいして、あれダメ、これダメで育てがちです。結果的に肯定されても、まずダメが入って育てられます。ダメで育てるのは、せっかくの子育てがもったいないと思います。ダメで育てると、お母さんも子どもも楽しくないし、子どもの可能性を否定することにもなります。

いいお母さんになろうと無理して頑張ったり、お母さん自身が自分らしく生きていないと強いストレスを抱えることになり、それがイライラを招くのです。そして「ダメよ!」とか「なにやっているの!」ということばによって、子どもにストレスをぶつけることになります。お母さんは、子どもにたいして、命令や否定ではなく、肯定的に接する育児や子育てがあるんだ、ということを知っていただければと思います。

そしてそのためにも、お母さんの身心に余裕が必要です。無理をしないで、お母さん自身もありのままの自分を認めて、楽しく生きることです。子育ては、子どももお母さんも幸せになるプロセスです。こんな素敵な時間を本当に楽しんでください。

インタヴュー・プレス
2017年7月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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