もし、ジャーナリズムが滅びたら……
[レビュアー] 図書新聞
もうタイトルだけで「一本」、お腹いっぱいである。国民のしつけ方、では、しつけるのは誰か。「メディア」が、少なくともその役割を担っているのではないか、というのが本書の論旨である。時間のない人は本書第四章「あるべき姿への道」から読んでみてほしい。著者が日本のジャーナリズムに対して六つの試案を提示している。もっと時間のない人は、「あとがきに代えて」だけでもいいから目を通してほしい。ここで読めるのは著者による「職業としてのジャーナリズム」論である。もしジャーナリズムが滅びたら、「人権など夢のまた夢だ」。現段階でも、人権とおサラバしたい政党が与党なのだから、状況は相当に深刻、危機の常態化である。では、どうしたらいいか……。実践あるのみ、と気を引き締める。(6・12刊、二二二頁・本体七四〇円・インターナショナル新書)