現代の子ども達が歴史を学ぶ意味とは? 歴史家・加来耕三先生インタビュー

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現代の子ども達が歴史を学ぶ意味とは? 歴史家・加来耕三先生インタビュー

[文] 成田全ポプラ社編集部

8月31日まで神保町「ブックハウスカフェ」で開催中の「こどもと本が出会う場所」。7月29日に、シリーズ58作で累計216万部を超える「コミック版 日本の歴史シリーズ」監修の加来耕三先生によるクイズ大会「教えて加来耕三先生!歴史っておもしろい?」が催されました。

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イベントの当日の様子
イベントの当日の様子

会場内はお子さんと親御さんで満席でした。

司会者より

「桓武天皇が新しくつくった都は、次のうちどれ?①大津京/②平城京/③平安京」
「今年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』で描かれている井伊氏がつくった城は次のうちどれ? ①彦根城/②長浜城/③姫路城」

など様々な時代から、難問珍問が計10問、歴史クイズとして出題され、加来先生のヒントをもとにみんなで頭を捻りました。

全問正解者には、加来先生から一人ひとりに贈られる言葉とサインの入ったミニ色紙がプレゼントされたのですが、なんと全員全問正解! 皆さん、歴史が大好きな方ばかりだったようです。

イベントの中でも同様の質問がでていましたが、子育て中の親御さんが気になっているポイントについて、加来先生にお話いただきました。

加来耕三
加来耕三

――どうして「歴史を学ぶ」ことが必要なのでしょう?

人はひとつの人生しか生きられないですが、歴史上の人物には無数のケーススタディがあります。そしてその歴史にはすべて「答え」が出ている。これを使わない手はないですよね。そして生きていく上で大事なのは、常に立ち止まってものを考える習慣を身につけること。なぜそうなったのか、もしもそうでなかったらどうなったのか、ということを常に問いかける。なぜこの人は右へ行ったんだろう、もしも左に行ったらどうなっただろう、と想像する。そうやって想像力を逞しくすると、構成力や構想力といった「ものを考える力」がつくんですね。その問いかけやすい学問が、「歴史」なんです。

――歴史に興味がない、というお子さんはどうしたらいいのでしょう?

まずはどの時代、そして誰でもいいですから、歴史上の人物で好きな人を一人探してください。漫画や映画、テレビ、本、なんでもいいので、自分と違う“第三者”に興味を持ってもらうことです。そしてその人に関しての本を3冊読んでみてください。1冊しか読まないと、その印象が強烈に残る。2冊だとどこが違うかしかわからない。でも3冊読むと、比較して自分の考えがまとまるようになります。これが「ものを考える力」なんです。それから歴史が好きなお子さんは、親御さんの影響が大きいですね。特に歴史は男性、お父さんの存在が大きい世界です。そこで一緒に学んでいただくと、親子の絆が深まりますよ。

――「コミック版 日本の歴史シリーズ」はなぜ、人気を集めているのでしょう?

他の歴史漫画の紹介でよく見かけるのは、「歴史の勉強に役に立つ」「用語をわかりやすく解説」などですが、それだけでは歴史を説明した「絵物語」になってしまって、途中であきてしまうお子さんも多いと思います。漫画の第一義は「面白いこと」なんですよ。ですから「コミック版 日本の歴史シリーズ」は、史実に基づきながらも、読んで面白い内容になっています。このシリーズは1冊まるごとの人物伝となっていて、他の歴史漫画にはないような人物を取り上げていることも特徴ですね。長宗我部元親や今川義元を1冊で取り上げるなんて、かつてはあり得なかったんじゃないですか。

歴史を学んでいると、様々な「意外なこと」があるんです。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人の武将のことを詠んだ「鳴かぬなら◯◯◯◯◯◯◯ホトトギス」という有名な川柳がありますよね。家康の句は「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」といわれますが、この3人の中で一番キレやすいのは、実は家康なんですよ。また、家康の遺訓として知られているものに、「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」というのがありますが、これは後年、明治時代になって創られたものなんです。あれだけ我慢をしてようやく天下を取った人だから、きっと忍耐強い人なんだろう、と考えてしまったんですね。しかし、この創られた家康から学べるものはありません。おそらく歴史を勉強すればするほど、イメージと違う人物に会えると思います。そのくらい歴史は奥が「深い」んですね。

――では最後に「コミック版 日本の歴史シリーズ」の読者のみなさんにひと言お願いいたします。

漫画を読んだお子さんが内容でわからないことがあったら、お父さん、お母さんに聞きますよね? でもわからないと説明ができない(笑)。そのために「コミック版 日本の歴史シリーズ」の巻末には、保護者の方に向けたメッセージが、解説としてついています。この部分をしっかり読んでいただければ、歴史のことがわかります。そうすると、ご家庭でお子さんと一緒に、イベントでやったような歴史クイズもできますよ。ぜひ、やってみてくださいね。

(歴史クイズ答え)桓武天皇が作った新都 ③平安京/井伊氏がつくった城 ①彦根城

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加来耕三
歴史家・作家。1958年大阪市生まれ。奈良大学文学部史学科卒業。奈良大学文学部研究員を経て、現在は大学・企業の講師をつとめながら、独自の史観にもとづく著作活動をおこなっている。『歴史研究』編集委員。内外情勢調査会講師。中小企業大学校講師。政経懇話会講師。主な著書に『徳川三代記』『ifの日本史「もしも」で見えてくる、歴史の可能性』(すべてポプラ社)など多数のほか、テレビ・ラジオの番組の監修・出演も多数。

構成・文:成田全

ポプラ社
2017年8月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

ポプラ社

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