キョンキョン受賞の「講談社エッセイ賞」 いずれ星野源も?

レビュー

2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

鳥肌が

『鳥肌が』

著者
穂村 弘 [著]
出版社
PHP研究所
ISBN
9784569830513
発売日
2016/07/15
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

非文芸畑が多数受賞。いずれ星野源も…?

[レビュアー] 豊崎由美(書評家・ライター)

 不思議なのは、高峰秀子、沢村貞子、岸田今日子、岸惠子といった、名エッセイで知られる女優陣が受賞者に名を連ねていないこと。チェックしてみたら、この四名、いずれも一九五二年に設立された日本エッセイスト・クラブ賞のほうは受賞してるんです。そこで、講談社エッセイ賞とこの賞の受賞歴を比べてみましたら、内田洋子が『ジーノの家 イタリア10景』で両賞ともにとっているという例外はあるものの、基本的には、講談社エッセイ賞は日本エッセイスト・クラブ賞受賞者への授賞は見合わせがちであることが判明。大人の事情というやつでしょうか、はい。

 さて、今回の受賞作ですが、これまでも世間知や経験値の低さを売りにしたエッセイで人気を博してきた穂村の『鳥肌が』の面白さの安定感が受賞にふさわしいのはもちろん、小泉の『黄色いマンション 黒い猫』における率直な筆致は読みごたえがあります。長年のファンはもちろん、彼女に関心がなかった人をも惹きつける三十四篇が収録されているのです。いかにも手練れの穂村本と、飾りのない一文一文が胸に真っ直ぐ届く小泉本。毛色が正反対の二作ではありますが、共に素晴らしいエッセイ集と断言いたします。

新潮社 週刊新潮
2017年8月31日秋風月増大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加