『川はゆく』 藤岡亜弥著

レビュー

4
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川はゆく : 藤岡亜弥写真集

『川はゆく : 藤岡亜弥写真集』

著者
藤岡 亜弥 [著]
出版社
赤々舎
ISBN
9784865410648
価格
5,400円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『川はゆく』 藤岡亜弥著

[レビュアー] 長島有里枝(写真家)

 写真家にとって、広島は難しい被写体だ。広島を撮るなら、原爆投下という歴史から目を逸(そ)らすわけにいかないからだ。戦後の広島を語るとき、わたしたちがあまりに過酷なその悲劇を強調せずにいられないのは当然だろう。しかし、藤岡さんの写真集は街のそれ以外の側面、つまり人々は今日も淡々と暮らしているという当たり前のことに気づかせてくれる。

 毎年、多くの高校生が広島を訪れ、資料館を見学し、平和記念公園に千羽鶴を収める。戦争学習を真摯(しんし)に受け止める彼らにとって、修学旅行は胸躍る一大イベントでもある。日常のワンシーンに当たり前のように写り込む戦争のイメージ、カープの赤、未来を感じさせる若者のポートレイトなどを、呉市で生まれ育った著者が「暮らす人」ならではの視点で切り取っている。新鮮な驚きの連続に、広島を訪れたいと思うはずだ。

 赤々舎 5000円

読売新聞
2017年8月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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