『ボコ・ハラム』 白戸圭一著

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ボコ・ハラム

『ボコ・ハラム』

著者
白戸 圭一 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103511519
発売日
2017/07/18
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ボコ・ハラム』 白戸圭一著

[レビュアー] 稲泉連(ノンフィクションライター)

 ナイジェリアの北部を拠点とするイスラム系過激派組織ボコ・ハラム。日本では2014年、200人超の女子生徒を集団拉致した蛮行が一時期報じられたが、それ以外の実態についてはほとんど知られていないのが現状だろう。

 本書は新聞社の特派員時代に南アフリカへ赴任していた著者が、この「テロ組織」を多角的に分析。知り得る限りの資料を読み解き、謎の多い組織の歴史と背景を描き出した骨太な一冊となっている。現地取材の経験に裏打ちされた迫力も相俟(あいま)って、約200ページという分量をはるかに超える読み応えがあった。

 もとはナイジェリア北部のローカルなイスラム反体制組織であったボコ・ハラムは、なぜ過激なテロ行為を自ら発信し、国際的に認知度を広げようとする組織に変貌(へんぼう)を遂げたのか。英国からの独立、混迷する社会情勢と政治の腐敗――国内の様々な「空白」に乗じて彼らが過激化していった過程を、著者は近現代史の流れと結びつけていく。一つの組織の盛衰を描くことを通し、現在の世界が抱える課題を幅広く浮き彫りにした濃密なレポートだ。

 新潮社、1300円

読売新聞
2017年8月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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