『機械脳の時代』 加藤エルテス聡志著

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機械脳の時代

『機械脳の時代』

著者
加藤 エルテス 聡志 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784478039373
発売日
2017/07/22
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『機械脳の時代』 加藤エルテス聡志著

[レビュアー] 柳川範之(経済学者・東京大学教授)

やっぱり人間が必要だ

 最近では、人工知能が我々の生活を大きく変えてしまうのではないかという話が盛んで、新聞や雑誌を開いても、人工知能という言葉を目にしない日がない位だ。しかし、今現在、人工知能、機械学習、データサイエンスといったものに何ができ、どんな使われ方をしているのかを紹介しているものは意外と少ない。

 機械脳というタイトルは、どちらかというとSF的な世界を連想させるが、実は、そんな現実で起きていることを丁寧に解説してくれているのが本書だ。

 顔認識技術を実際にビジネスに応用している例や、購入予測やおススメの精度をあげる工夫の例等(など)、具体的な企業名を挙げたケーススタディーを用いながら、実際のビジネスでどんな使われ方がされているのかが、語られている。

 そこからみえてくるのは、どちらかといえば、とても手間のかかる、やや融通のきかない機械としての人工知能の姿だ。

 まず目的を明確にして、どんなデータを扱うか決めないと、人工知能やコンピュータを有効活用することは難しい。そして、実際に機能を発揮させるためには、関係各所との交渉や合意形成の努力を、人間が泥臭くしないといけない等のことが、具体的に説明されている。

 もちろん、うまく機能させれば大きな力になるのは事実だろう。著者が強調しているように、「考える」という根本的な作業分野で、人と機械の役割分担に地殻変動が起きている。この本でも、重要なテーマとして、そのような大きな変化が生じていることも示されている。また、もしかすると将来には、もっと違った変化が生じるのかもしれない。

 しかし、そうであっても、人工知能が何でもやれるようになるという論調が多い中、うまく機能させるためには、人工知能のために汗をかく人間や、社内で交渉に走り回る人間が必要だという解説には、何となくほっとする人も少なくないだろう。

 ◇かとう・えるてす・さとし=コンサルタント会社などを経て、日本データサイエンス研究所を創設、代表理事に。

 ダイヤモンド社 1800円

読売新聞
2017年9月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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