仮想通貨とは何か その正体がこれだ
[レビュアー] 小飼弾
今年の7月よりVALUという会社のエンジニアも務めている。この会社の特徴の一つは、売上が全てビットコインであること。もちろん日本の会社である以上、経費はそれを日本円に替えて支払うのではあるが、ビットコインを含め仮想通貨とよばれる通貨は今までの通貨と何が異なるのだろうか?
それに答えてくれるのが、森川夢佑斗の『ブロックチェーン入門』。「ビットコイン」や「仮想通貨」という言葉は書名にないが、それは「数学入門」にわざわざ「加減乗除」という言葉が入っていないのと同じこと。ブロックチェーンこそ仮想通貨の正体で、ブロックチェーンがわかれば仮想通貨のことはわかるのだから。そして数学が加減乗除に止まらないのと同様、ブロックチェーンも仮想通貨に止まらない。ではブロックチェーンとはなんなのか?
紙の契約書のことを考えてみよう。内容が改竄されないことをどう保証しているかといえば、当事者全員が同一のコピーを持った上で署名している。ではその契約書の続きが来たらどうするか? 「これはあの契約書の続きである」とそのページに明記した上でまた署名すればよい。ブロックチェーンというのは単なる電子版でビットコインとは、全取引が記録され署名された単なる台帳である。しかし当事者が甲乙だけではなく何万人何億人もいた場合、誰が署名すればいいのか? それに、かのサトシ・ナカモトはどう答えたのか? 本書でぜひ確認を。