<東北の本棚>型絵染作家 より身近に

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<東北の本棚>型絵染作家 より身近に

[レビュアー] 河北新報


『芹沢銈介を読むIII』
濱田淑子[著]

 東北福祉大芹沢銈介美術工芸館(仙台市青葉区)の学芸員を長く務めた著者が、同館の所蔵品を解説するハンドブック。シリーズ3作目は「沖縄」「寿岳文章」「文字」のテーマで25作品を取り上げた。
 染色工芸の人間国宝芹沢銈介(1895~1984年)は沖縄伝統の紅型に衝撃を受け、現地で技法を習得し、生涯沖縄への愛着を持ち続けた。「那覇大市図軸」は、那覇のにぎわう市場を紅型で色鮮やかに表現した作品だ。
 英文学者の寿岳文章(1900~92年)は、芹沢の傑作として知られる「絵本どんきほうて」の制作依頼者だった。「芹沢銈介の人間性と仕事について、柳(宗悦)に次いで的確に評価した同時代の文化人であった」と著者は書く。
 文字文様は芹沢作品を象徴するデザインの一つ。「信」「木」「飛」といった漢字が伸びやかに染め抜かれたのれんなどは、今も色あせることなく斬新だ。
 各見開き面の左に作品のカラー写真、右に解説文を配した。当時の芹沢の動向と発言を全集や専門誌から引用し、制作の背景と意図まで伝える。平明な文章は希代の型絵染作家を一層身近に感じさせてくれる。
 著者は1989年の同館開設時に学芸員となり2010年に退職。16年3月まで参与を務めた。
 まちの編集室019(652)1858=702円。

河北新報
2017年9月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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