日本初のタウン誌「銀座百点」 50篇のエッセイ集

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おしゃべりな銀座

『おしゃべりな銀座』

著者
銀座百点 [編集]
出版社
扶桑社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784594077167
発売日
2017/06/29
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

60年の歴史から銀座の磁力を感じるエッセイ50篇

[レビュアー] 都築響一(編集者)

 どの町に行ってもあるのが「タウン誌」で、その内容がおもしろいと、がぜん町そのものに興味が湧く。

『銀座百点』という雑誌をご存じだろうか。銀座の老舗に行くと、たいていレジ脇に積んである小さな雑誌を、あああれかと思い出すひともいるだろう。銀座の名店の連合会・銀座百店会が発行する月刊誌が『銀座百点』。誌名が「百店」でなく「百点」であることからわかるように、単なる会員店舗の宣伝誌ではなく、銀座という街の魅力を紹介し、語り尽くそうという「日本初のタウン誌」だ。創刊号が1955年発行、いま店頭に並ぶ2017年9月号の表紙には第754号とある。

『銀座百点』が描く銀座という街は60年前から変わることなく、どこまでもエレガントで、知的で、お洒落で、なによりオトナであり続けた。昨今は銀座のイメージもずいぶん変わってしまったが、それでも銀座には新宿にも渋谷にも絶対にない「なにか」がまだ残っていて、その「変わりゆく街で変わらないもの」の象徴が『銀座百点』なのだろう。そういえば縦13×横18センチという横長サイズの判型も、創刊以来ずっとそのままだ。そのサイズは「男性は上着のポケットに、女性はハンドバッグに収まるよう考えられた」ものだという。

『おしゃべりな銀座』は、『銀座百点』に掲載された50篇から成るエッセイ集。エッセイの著者たちはかならずしも生粋の銀座っ子ではないし、銀座に詳しい遊び人ばかりでもないし、ふだんは「銀座」というイメージでもない書き手もいるけれど、みんな、なんとなく背筋を伸ばしたような、しゅっとした文章を書こうとしている雰囲気があって、それが銀座の磁力でもあるのだろう。

 あなたのフェバリット・ギンザは、この中にあるだろうか。そしてその店は、いまの銀座にまだ生き延びているだろうか。

新潮社 週刊新潮
2017年9月28日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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